「年収700万円で4500万円のタワマン」は無理ゲーか?冷静に考察してみた
「年収700万で4500万円の住宅」本当に不可能か
「6月までに就職先を見つけないと認可保育園を退園させられそう」とのことですが、コロナで本当に困っているのなら役所に相談すれば普通は猶予してもらえそうです。それでも、ダメならばとりあえずパートに出て就労している状況を作り、その後、就職先を見つければさほど問題ないはずです。
さて、年収700万円で4500万円のタワーマンションを維持するのは不可能なのでしょうか? 辛いですけど、不可能ではありません。奥さんがパートに出て税金がかからない年100万円を捻出できれば、余裕で維持は可能です。
年収700万円の手取り額はおよそ530万~540万円。毎月の給料では足りませんけど、ボーナスで補填できますし。住宅ローン減税(年20万円、夫婦でダブルローンであればその倍額)とこども手当(月1万円)を考えれば、まぁ許容水準でしょう。奥さんが再就職できるまで、銀行の預金残高が少しずつ減り続ける若干の撤退戦かもしれませんが、就職活動をしっかりすればそんな時期は1年もかからないはずです。
私はあえては勧めませんが、売却することも可能です。この眺望があれば、6年経った2020年の今であれば、5000万円台中盤の価値があります。一方で住宅ローンの残債は仮に購入時35年のフルローンと考えても、3800万円未満に減っていますので、差額は1500万円以上になります。当面の生活の立て直しを図るには十分すぎるほどです。
しかし、この記事への大多数の意見は違った
私が少し心配するのは、記事の中身ではなく、この記事を読んだ人々の意見・反応です。一例をあげますと、
「その年収で、それだけのローンを組んだのがすごい」
「身の丈に合った生活をしたほうがいい」
「五輪がなくなれば価値は大なり小なり下がる。売ってもかなりローンが残る。特にタワマンは厳しい」
こんな感じのコメントで埋め尽くされていました。ためしに一つひとつ反論してみましょう。
▽ その年収でそれだけのローンを組んだのがすごい
→世帯年収1000万円超で物件価格4500万円は、保守的な計画です。仮にこのまま旦那さんの年収だけになったとしても慎ましく生活するなら、貯金がほぼできませんが、維持は可能です。貯金は奥さんがパートに出られればできます。
▽ 身の丈に合った生活をした方が良い
→タワーマンション系の記事によく出てくる表現、「身の丈」ってなんでしょうか。タワーマンションは都心の一部を除いて、別に富裕層の持ち物ではなく、東京の普通の年収層のサラリーマン家庭でも維持することは可能です。
▽ 五輪が無くなれば価値は下がる
→五輪がなくなったとしても、この数年で東京湾岸エリアに投下された社会的資本はすさまじいものがあります。この6年間のうちに日本でもっとも変わった街のひとつでしょう。五輪はきっかけに過ぎず、仮に五輪開催が無くなっても、利便性が損なわれることは一切ありません。
彼らが見落としている“事実”
このような意見を書いた人が見落としているのは「田村さんが仮にいまマンションの売却をすると<売却額 - ローン残債>がプラスになる」という点です。毎日東京タワーとレインボーブリッジを眺める生活をしながら、むしろ貯金ができました。
不動産の知識がある人たちがこの記事を読むと「この田村さん、うまい時期に買ったな~」「全然問題ないじゃん」という反応だったでしょう。住宅ローンはギャンブル、タワーマンションは全部危険、リスクは一切取りたくない……そんな考え方もわかりますが、それぞれ一度しかない人生、さまざまな楽しみ方があっても良いはずです。
私は、サラリーマンという身分が持つ「信用」をうまく使って、日々の生活のクオリティをあげるほうが、満足度の高い人生が送れると考えています。
<TEXT/マンションブロガー のらえもん>