「カレーは飲み物。」創業者が語る、変なネーミングとマジメな経営論
“フードカルチャーを創る”ことが目標
カレーは比較的「飲み物」に近い食べ物ではあるが、その他のとんかつ、ハンバーグなど固形型寄りの食べ物に関しては、「飲み物」のように食べられる工夫はされているのだろうか。
「【飲み物。シリーズ】のフィルターを通したプロダクトはすべて“飲み物”になるので、固形か液体かなどの議論は野暮なんです」
ちなみに次に“飲み物”になりそうな食べ物は、ずばり「ビーフストロガノフ(仮)」とのことで、7月には洋食屋を出店予定。また新たな業態が仲間入りすることになりそうだ。
「ぼくらの最終的なゴールは飲み物。シリーズというコンテンツを成長させてワクワクや楽しさを創り出すこと、いわば“フードカルチャーを創る”ことです。便利に快適に効率的になることだけが人の幸福ではない。
人と触れ合いながら働き、仲間や家族たちと笑いながら美味しい料理を食べ楽しい時間を分かち合う。そんなシーンをぼくらはコンテンツを通して提供できる。数字や効率では測れない目に見えない価値の先にカルチャーがあり、それがぼくらの思う“フードカルチャーを創る”ことにつながっています」
すべてのものは“のみもの”になる
苦境の中でも歩みを止めない壬生氏の考える“のみもの”は、すでに哲学的な概念の域に達しているようだ。
「中短期のプランでは、イントレプレナー(社内起業)制度の導入を検討しています。新しいコンテンツを創り出せる若いパワーを創出することが目的で、ぼくらの会社の文化や歴史を重ねることでしっかりとした土壌をつくって、楽しさと魅力を持ったチームにしていきたい。
現在はフードだけですが、ぼくらの考える『飲み物。シリーズ』の第二形態はもっと自由で、アニメ・アパレル・雑貨・ロボット・スポーツ・ゲーム、すべてのものは“のみもの”になるプロダクトとしての可能性を秘めています。若い人はぜひ好きなものにのめり込んで、自分なりの“のみもの”を発見して、“カルチャーを創る”ことに挑戦してほしいですね」
<取材・文/伊藤綾>