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江頭、オリラジ中田…バズる「芸能人YouTuber」はどこが違う?VAZ代表・森泰輝が未来予測

ビジネス

“ネット版・池上彰”というポジショニング

森:ましてや今後、YouTubeは、芸能人が参戦する“戦国時代”に突入します。プラットフォームはどんどん成長しますが、その流れに安易に乗っかれば儲かるというものでもない。

 たとえばタレントとして大活躍するオリラジの中田敦彦さんは、ただ動画を載せるだけでなく、難解なビジネスを分かりやすく解説する“ネット版・池上彰”のポジションを確立しました。彼のように知名度と人気がありながら、なおかつポジショニングに長けた人材に勝るのは、簡単なことではありません。

――では、これからYouTubeへの参戦を考える個人や企業は、どのような戦略を用いればいいのでしょうか。

森:個人でいえば、やはり強くて俊敏なチームで動くこと。ポジショニングを意識したうえで、強いビジョンを持って協力者を募っていく必要があります。インフルエンサーの成功は、インフルエンサー本人が本気にならない限り、ありえません。

 またポジショニングの観点として、30〜40代向けの動画コンテンツには、まだまだ白地がある。大人向けの動画コンテンツ制作を支援するプロダクションも立ち上がっているので、そうしたところに所属するのは、早く芽をだすうえでは有効だと思います。

「3Hコンテンツストラテジー」に学ぶ

森泰輝

森:企業でいえば、「YouTubeの視聴傾向を分析し、企業・ブランドにとって役に立つであろう3つの方向性」を整理した「3Hコンテンツストラテジー」に学ぶのがいいと考えています。3Hとは以下の3つです。

・Heroコンテンツ(多くの人々が持つ人間の普遍的な欲求を刺激)
・Hubコンテンツ(生活者ごとの興味関心に沿ったカテゴリー)
・Helpコンテンツ(具体化したニーズに対する的確な回答)

 この「3つのH」のなかでも、動画マーケティングで重要なのは「Hubコンテンツ」と「Helpコンテンツ」だと思っています。

 なぜなら、この2つのコンテンツは“繰り返し閲覧されることを前提にした”ものだからです。いったん知名度を上げるためには「Heroコンテンツ」も重要なのですが、長期的に伸びるためには「Hubコンテンツ」と「Helpコンテンツ」を充実させる必要があるのです。

 つまり、生活者ごとの興味関心に沿ったコンテンツか、もしくは消費者の顕在化したニーズに応えるコンテンツを定常的に配信することで、ファン・コミュニティを形成し、ファンとつながり続けることを強く意識していく必要があります。

 今後、YouTubeに親しみのある若い世代が、動画マーケティングを任されるケースは増えていくと思います。詳しいことはブログでも発信しているので、ぜひチェックしてみてください。

<取材・文/小池真幸、オバラミツフミ(ともにモメンタム・ホース)>

【森泰輝(もり たいき)】
株式会社VAZ代表取締役社長。1990年和歌山県生まれ。2015年VAZを設立、数年で国内最大級のインフルエンサープロダクションとなる。 2019年に「Forbes 30 Under 30 Asia 」Media, Marketing & Advertising部門選出。Twitter:@taiki_VAZ ブログ:note

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