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国内No.1コスメサイトが、巨大な実店舗をつくった理由と野望

ビジネス

プチプラからデパコスまでは珍しい

 原宿駅前という好立地ゆえに、賃料も高く、収支を考えないとGAPのように撤退を余儀なくされる。ある種、ハイリスク・ハイリターンの場所に、なぜアットコスメトーキョーを出店させたのだろうか。

「銀座や表参道には、コスメブランドやラグジュアリーブランドの路面店がひしめいていて、競争が激しい。アットコスメトーキョーは、BtoCの小売を中心に店舗での化粧品販売に注力している。

 昨今の新型コロナウイルスの影響があっても、週末の土日は1日1万人弱のお客様が来店していただいています。立地の良さはもちろん、プチプラからデパコスまで揃う場所は珍しく、600ブランド以上、商品数2万点という圧倒的な品揃えが、集客に結びついている要因ですね

 普通、デパートで販売されているラグジュアリーブランドのコスメは、「ブランド価値を下げる」という懸念から、ドラッグストアに置かれているプチプラコスメと同じ空間で販売しない商慣習がある。

 しかし、アットコスメトーキョーでは、プチプラコスメとラグジュアリーブランドのコスメを同じ什器内で混在させて販売しているコーナーもあり、垣根なくフラットの状態を意識して、様々な化粧品ブランドを扱っている。ラグジュアリーブランドはより身近に、そしてプチプラブランドはより素敵に見せる。このような考えがあるからこそ、バラエティに富んだ化粧品が店を彩っているわけだ。

「100円から10万円まで取り添えている」

アットコスメトーキョー

アットコスメトーキョー店内にはたくさんのコスメが並ぶ

「100円から10万円までの商品を取りそろえているのは、アットコスメトーキョーならでは。業界関係者からは『稀有な存在』だと言われることもありますね。なぜ、様々なコスメを扱っているかというと、もともとアットコスメが化粧品の口コミサイトなので、どこかのブランドに寄らず、ユーザーにフラットな口コミ情報を届けているから。

 アットコスメトーキョーに来れば、たくさんのコスメに出合え、気になるものがあれば、アットコスメを見て口コミをチェックする。このような、購買体験のサイクルを作れるようにしていきたいですね」

 ブランドの垣根を越える。これこそ、アットコスメトーキョーの目指す世界観であり、ブランド横断での購入や店舗とECの併用など、消費者の購買体験が変化している時流に沿った店舗設計をしている所以だろう。

「昔は、マス広告で知るブランドの化粧品で全て揃えるのが主流でした。しかし、今ではコスメに関する情報はどこでも簡単に手に入りますし、ライフスタイルも多様化したことで、『みんなと同じではなく、自分にあったもの』を選ぶようになった

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