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国内No.1コスメサイトが、巨大な実店舗をつくった理由と野望

ビジネス

ブランド横断での購入が主流に

「それは、若年層になればなるほど顕著で、全てひとつのブランドに統一している人はほとんどいない。つまり、年齢、性別、住む地域や職業などのデモグラデータからセグメントして販促するやり方はもう通用しないと言えるでしょう」

 消費者は「有名だから、値段が高いから」という理由で化粧品を選ばなくなり、価格帯やブランド問わず、自分に合ったものを選ぶようになってきた。このような、購買トレンドの変化は「カテゴリー(化粧品の分類)」にも如実に表れているという。

「カテゴリーごとに消費者に支持されるブランドが異なるのも大きな特徴です。例えば、アイライナーやマスカラなどは、ラグジュアリーブランドはなかなかプチプラブランドに勝ちづらい。逆に、美容クリームはラグジュアリーブランドが強い。

 知られているブランドだから購入するというのではなく、SNSによる口コミやインフルエンサー発信のおすすめコスメなど、『人が前面に出る』ような購買喚起があるからこそ、ブランド横断での購入が主流になっているのだと思います」

ネットとリアルの融合で生む基盤作り

 アットコスメトーキョーは、化粧品の小売だけでなく、店内にはイベントスペースやライブ配信スタジオを設け、消費者が訪れたくなるような導線を作っている。集客が見込める店舗だからこそ、店舗の一部を有料で化粧品ブランドにポップアップスペースとして貸し出したり、デジタルサイネージの広告枠を提供したりといった、一般のコスメショップにはない新たな収益モデルを構築しているのだ。

アットコスメトーキョー

アットコスメトーキョー内にあるデジタルサイネージ

「今後3階のイベントスペースは月によってテーマを決め、コンテンツを提供していく予定。ブランド様にも活用してもらいながら、コスメのファンを創生し、購買に繋げる。企業と消費者を結ぶ場づくりをしていきたい。また、今後はライブコマースにも取り組みたいと思っています。

 有名なインフルエンサーはもちろん、店舗に立つスタッフにもフォーカスしたいと考えているところ。というのもプチプラからラグジュアリーまで両方のコスメに精通する美容部員は世の中にあまりいませんが、弊社にはたくさんいます。ですので、もっとスタッフの発信から購買に繋げる導線も作れるのではと思案しています」

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