「外出自粛」でも通勤電車に乗るのはなぜ?新型コロナで知るべき法律
知っておきたい、緊急時の補償
最後に私たちが知っておくべき補償について話を聞いた。まずは、通勤電車で新型コロナウイルスに感染したら、労災保険が適用されるかどうかだ。厚生労働省HPには「業務又は通勤に起因して発症したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象」とあるが、果たして――。
「さすがに通勤電車で罹患したかどうかを証明するのか難しいと思います。例えば、医療従事者が業務遂行の中で感染した疑いが強い場合は、労災と認められる可能性が高いと思います。サラリーマンであれば、もし新型コロナウイルスに感染して仕事を休む場合、健康保険から傷病手当金が支給されます」
傷病手当金の支給額は「支給開始日の属する月以前直近の継続した12か月間の標準報酬月額」を平均し、それを30日間で割った金額の3分の2。まずはこれがさしあたってもらえる補償だろう。
一方で、サラリーマンではない、個人事業主やフリーランスが申請できる助成金のひとつに「小学校休業等対応助成金」がある。この助成金は、事業主が活用できる他、小学校等の臨時休業等に伴い、子どもの世話を行うために、契約した仕事ができなくなったフリーランスの保護者に対し、で1日あたり最大4100円が支給される(申請期間は6月30日まで)。
中小企業向けの融資や補償も
さらに中小企業に勤めるサラリーマン限定の「中小企業従業員融資(新型コロナウイルス感染症緊急対策)」もある。こちらは新型コロナウイルス感染症の影響による休業での収入減等に対し、東京都が利子を負担したうえで、融資をしてくれる。
東京都は10日の会見で休業要請に応じた中小企業に対し、新たに設けた「感染拡大防止協力金」から最大100万円の支給や、公共料金支払い猶予といった対策を発表している。
これ以外にも経済産業省や福祉協議会の資金繰支援や給付金もある。新型コロナウイルスに対する報道は政府の失策ばかりが取り上げられがちだが、こうした補償についてもくれぐれも見逃さないようにしたい。
<TEXT/詠シルバー祐真>