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離婚後の“養育費ふみたおし”、4月の法改正でどう変わる?

コラム

養育費を払わないと刑罰、って本当?

 ところでSNSなどで「今後は養育費を支払わなければ前科がつく」という情報が拡散されましたが、本当なのでしょうか?

「改正前は『30万円以下の過料』だったので、前科にはなりませんでした。しかし、今回の民執法改正で財産開示手続きを正当な理由なく拒んだり、無視したりした場合に『6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金』という重い刑罰が科されるようになりました。検察官の判断で起訴猶予になることもあるとはいえ、大きな変化ではないでしょうか」

※起訴猶予=罪を犯し、その証明もされているが、軽犯罪、被害者と示談ができた、社会的制裁をすでに受けているなどの理由で、起訴を見送るケースのこと。

支払義務者の居住地を特定できる

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 ただ、裁判所への出頭には支払義務者の居住地特定が必要です。どうすればいいのでしょうか?

「今回の法改正により支払義務者の不動産、給与、預貯金等の情報を保有する『第三者からの情報提供を受ける手続き』が新設されました。具体的には銀行に対して口座情報の有無、登記所には不動産の有無、市町村や日本年金機構等には勤務先や給与についての情報の提供を受けられるようになりました。

 なお、養育費の請求に限って、市町村や日本年金機構等から支払義務者の勤務先や給与の情報を得ることが認められています。借金返済を求めるためなどの理由ではできません」

過去の未払い分もさかのぼれる

 これまでの未払い分も請求できるのでしょうか?

「過去の未払い分は、原則として『最初に請求したとき、または支払いの合意をしたときから5年』に限り請求できます。

 これは、支払義務者の養育費支払義務は、権利者が請求してから生じると考えられている点と、養育費が民法上の『定期給付債権』にあたり、これが5年で時効消滅するためです」

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