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離婚後の“養育費ふみたおし”、4月の法改正でどう変わる?

コラム

残酷なマネーの新常識

 離婚後、決められた養育費の支払いを受けられず、貧困に苦しむシングルマザーやひとり親世帯が社会問題となっています。厚生労働省の調査によると、離婚した元配偶者から養育費を受け取っている人はわずか3割程度です。

養育費

※画像はイメージです(以下同じ)

 そのような状況を打開するため、2020年4月1日より改正民事執行法(民執法)が施行され、未払い養育費を請求する手続きがそれまで以上に簡素化されました。

 今回も20代が知っておきたい離婚にまつわる「マネーの常識」を紹介。具体的にどのような改正が行われたのか、弁護士と公認会計士の資格を持つ後藤亜由夢先生に聞きました。

「財産開示手続」が容易に

 そもそも法改正前は、どのように養育費を請求する方向に持っていっていたのでしょうか。

「これまでは離婚の際に、元夫婦間で養育費の支払いに合意したにもかかわらず、支払われない場合、『養育費を支払え』という裁判の判決か、または公正証書(※離婚する際の条件をまとめた公的な文書で、法務大臣が任命した公務員が作成)があれば支払義務者の財産を差し押さえることが可能でした。

 しかし、差し押さえるためには、支払義務者がどのような財産を持っているのか、請求者が特定しなければなりません。裁判の判決があれば支払義務者の財産開示を求める『財産開示手続』を裁判所に申し立てることができました。これは支払義務者が指定された期日に裁判所に出頭し、債務者の財産状況を陳述するものです」

 今までは公正証書だけでは、財産開示手続きの申立てができないことがネックとなり、養育費の支払請求をするにあたって財産開示手続はほとんど行われず、養育費の回収が困難だったそうです。

「改正後は公正証書でも財産開示手続きができるようになったのです。つまり、裁判の判決がなくても、公正証書さえあれば支払義務者の財産開示手続きができるようになったのです」

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