新型コロナで中国撤退も…ワタミが“赤字ブラック企業”から復活していた!
現在のワタミを支える「宅食事業」
ワタミのセグメント別の売上高の推移を見てみましょう。国内外食事業・海外外食事業ともに売上高が直近の数年間は売上高の伸び幅は限定的であることがわかります。海外進出に力を入れている他の飲食チェーンとは異なり、海外外事業の売上高は縮小傾向にあります。
一方で、近年、ワタミにおいて大きな存在感を出しているのは、国内宅食事業です。全国500か所を超える営業所を活用し、高齢者向けの弁当宅配を行っています。ワタミの宅食事業は、2008年に株式会社タクショクの買収を機に拡大し、現在では会社を支える存在となりました。
2019年3月時点で、宅食事業は全社売上高の約4割を、営業利益だと全社の約6割を占めています。ワタミの収益源は、外食事業ではなく宅食事業となっていることがお分かりいただけるかと思います。
実際、ワタミが2019年に発表した中期経営計画でも、2022年頃までの収益の源泉は宅食事業であり、事業拡大に集中すると説明されています。
国内外食事業の営業利益は回復
安定的な利益をもたらす宅食事業とは異なり、営業赤字が続いていたものの近年盛り返しているのが国内外食事業です。国内外食事業は、2015年3月期には、36.9億円の営業赤字、2017年3月期も2.2億円の営業赤字でしたが、2019年3月期には、11.5億円の営業黒字にまで回復しています。
国内外食事業における営業利益の拡大は、ワタミ全社の営業利益を押し上げています。実際、ワタミ全社の営業利益は、17年3月期に1.8億円、18年3月期に6.5億円、19年3月期に10.6億円と順調に回復を続けています。