ヤンキーが慶応大生に…ヤンキーインターン運営者に聞く「可能性の広げ方」
真面目はダサいという価値観
――そうですか。受講を希望するみなさんに対してどのようなアプローチを?
橋本:僕たちがまず必須だと考えているのは、地元のコミュニティから離れてもらって、インターン施設のある都心部に「移動」してもらうことなんです。
どうして移動が必須なのかと言うと、ヤンキーに憧れている子たちというのは、真面目に勉強をするとか、部活や校外活動を一生懸命頑張ることに対して「イケてない、ダサい」とヤンキーならではの価値観で負のレッテルを貼っちゃうんですよ。
彼らにしてみれば、大好きな地元で気の合う仲間たちと怠惰なヤンキー生活を過ごすことが、一番格好良くて異性にもモテるんだと思い込んじゃっていますから。だからまず最初は、そういった地元のコミュニティから一時的に切り離してあげることで、自分自身を変革するきっかけを作ってもらうようにしています。
高卒の可能性を狭める就活ルール
――なるほど。勉強のために読書をしたり、スーツ姿でパソコンに向かって一生懸命仕事をすることが、実はとてもイケてることだという価値観に気づいてもらうための移動ということですね。ところで、このユニークな就労支援の取り組みを始めた経緯というのは。
橋本:久世(大亮)という者がハッシャダイの設立者兼CEOなのですが、このヤンキーインターンの原型となった活動も彼が最初に一人でスタートさせました。久世は非大卒で、地元の友人がヤンキーだらけだったそうです(笑)。それでなんとかして、友人たちの生き方を変えようと思ったことが、この事業を始めるきっかけになったと聞いています。
これはハッシャダイの基本理念でもあるのですが、「若者の選択格差を是正する」という標語を常々提唱させてもらっていて、例えば現状、高卒の人が守らなければいけない就活ルールというのが常態化していて、彼らは原則、1人1社しか受けることができません。しかも内定辞退は不可なので、大卒と比べて選択肢がまるでないというのが実情です。
そういった学歴の有無や地方格差、あるいは恵まれない家庭環境などが要因で、自分自身の可能性を見失ってしまった若者たちが再起を図ることのできるプラットフォーム=ヤンキーインターンなんです。