わずか1週間で完売。アサヒビール「本格派リキュール」がヒットした背景
昨今、居酒屋やバーなど外でお酒を嗜む「外飲み」以外にも、缶ハイボールや缶チューハイといった「フタを開けてすぐ飲める飲料」(RTD飲料)による「宅飲み」需要が拡大している。
ホームパーティはもちろん、一人でしっぽり飲む時間など、飲料メーカー各社も、多様なニーズに応えるべく様々な商品を展開している。
アサヒビール株式会社(アサヒビール)は、2月18日よりリキュールの新商品「フォション 紅茶のお酒」をAmazon限定で発売。130年の歴史を誇るフランスの高級食材商社「フォション社」認定のセイロン茶葉を使用した紅茶のお酒で、リキュール市場に打って出たのだ。
紅茶のお酒を出した理由と、ティーリキュール市場活性化に向けた取り組みについてマーケティング本部 洋酒マーケティング部の佐藤ちあき氏に話を伺った。
業務用から一般家庭用への展開
そもそも日本において、紅茶のお酒を飲む機会はあまりない。ヨーロッパ発祥のティーリキュールは、現地でどのように親しまれているのだろうか。
「実は『ティーリキュール』はヨーロッパにもちろんあるのですが、そこまでメジャーなリキュールではなく、ミルクやオレンジジュース、レモンソーダなどで割って飲まれることが多いそうです」(佐藤氏、以下同)
本場ヨーロッパでも、カクテルやワイン、シャンパンにはない紅茶独特の味わいを楽しみながら、様々な割り方で飲むのが主流のようだ。
アサヒビールは2006年から「フォション ティー リキュール」という紅茶のお酒を販売しているが、主にホテルやオーセンティックバーを中心とした飲食店向けのものだった。しかし今回、家庭でも気軽に楽しめるお酒として「フォション 紅茶のお酒」を発売した。
「新しい価値を持ったお酒」を提供
その発売のきっかけについて、佐藤氏は次のように話す。
「リキュールはすでにかなり多くの種類のフレーバーがあり、日本にも国産品から輸入品まで様々なものが存在している。そんな数ある中でも、今までのリキュール類にはない『新しい価値を持ったお酒』を出したいという思いが強くあり、『一人で寛ぐひととき』の飲用シーンに着目しました。
仕事や家事、育児など日々を忙しく過ごす女性の一日の終わりに、甘い味わいのリキュールが疲れを癒してくれるのではない。そう思い、『リラックス』『くつろぎ』『癒し』をキーワードに、今までにない新しい価値を提供できるお酒を模索しました」