ワタミ受賞「ホワイト企業大賞」主催者を直撃。ネットの批判には「こちらが驚いている」
「ホワイト企業大賞」というものを知っているだろうか。2020年1月に行われた第6回の受賞式では、居酒屋チェーンであるワタミグループの焼き鳥専門の居酒屋「三代目鳥メロ」が特別賞を受賞した。
かつて長時間労働による過労自殺が発生し、世間からブラック企業というイメージの強いワタミが選ばれたことは賛否両論を呼んだ(ネットでは主に批判的な声だった)。
「ホワイト企業大賞」の理念や選考基準はどうなっているのか。今回、bizSPA!取材班は、ホワイト企業大賞企画委員会を取材した。
企画委員長「予想以上の関心に驚いた」
今回、取材に応えた企画委員長の天外伺朗氏は「予想外にワタミの受賞が世間から関心が高くて、こちらが驚いていますよ」と語る。
「ワタミは2013年にブラック企業大賞を受賞してから、社員のみなさんはとても苦労されていて。今回の審査にあたって、うちの企画委員がお邪魔したなかで『会社をよくしていこう』という努力が社員全体から感じられたことを大変評価していましたね。
受賞式に来られた会長の渡邉美樹さんにばかり注目が集まっていますが、我々は渡邉さんに賞を与えたのではなく、(ワタミグループ会社の)『三代目 鳥メロ』に与えたということなんですよ」
2014年に立ち上がったホワイト企業大賞。ホワイト企業とは、「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」と定めている。
エントリー企業は、費用の10万円と、その企業で働く社員アンケート調査から企画委員会がホワイト指数を数値化する。その後、1、2名の企画委員が企業訪問や聞き取りをしたうえで、ホワイト企業の賞に値するかどうかを各々の企画委員が決めるという。
「はっきりいって明確な基準はありません」
「個人」「職場の関係性」「社会貢献」「人間的成長」「自律」「信頼」「誇り」という7つの選出項目はある。これ自体も、かなりあいまいな気がするが、天外氏は「はっきりいって明確な基準はありません」と語る。
「審査基準を設けてしまうとそれが目標になってしまって、そこから外れた企業は削除されてしまうじゃないですか。例えば、ブラック企業で取り上げられるような残業の多さや労働環境などは気にしていないですし、ある程度はアンケートを見ればわかりますから。
現状がどうかというより、良い将来に向かって歩いているかどうかを訪問した企画委員たちが感覚的に評価しています。どんな企業でも叩けばホコリは出てきますから、そこに目をつけてもしょうがないので」