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宗教の2世信者やめたらどうなる?歌手志望女性の“複雑な心境”

「苦難の先に栄光が待つ」といった考え方が長く浸透してきた。

 だが実際に残業・出世争いなど労苦の果てに得るものは大したことがない。ならば、嫌なことをやめて生きたほうが楽なのでは? そんな考えが生まれつつあるなか、「嫌なことのやめ方」を考案してみよう。

宗教団体を脱退してスッキリ

嫌なことをやめて生きる

「嫌なことをやっているときは、このまま数十年続けたらどうなるのかということを考えると、やめられると思います」と関口さん

 現在、東京のスナックでバイトしながら、プロの歌手を目指す関口千秋さん(仮名・33歳)は、3年ほど前まで某宗教団体の活動員だった。大阪府内で熱心な信者の両親のもとに生まれた“二世”だ。

「実家の外壁にはいつもその団体が支持している政党のポスターが貼ってあり、地元では団体員一家として有名でした。小学生の頃から、親に言われるがまま勤行(お経を唱えること)をしたり、会合に参加したり。同級生やその親から色眼鏡で見られるなんてことはしょっちゅうでしたね」

 両親の期待通りに育った彼女は、学生時代は宗教団体への勧誘(折伏・しゃくぶく)や支持政党への投票の呼びかけなどの活動も行っていたが、胸の内には常に葛藤もあったという。

「本音としては、勧誘して友達を失っていくのが本当に嫌でした。活動すればするほどメンタルが不安定になっていきました」

今は“自分のため”だけに生きています

 大学卒業後、関口さんは歌手の道に進むことを決心したが、その後ついに心の糸がプツンと切れた。

「歌とバイトをしながらの生活は楽ではなく、次第に団体の活動ができなくなると、信仰心の強い親からプレッシャーをかけられるようになります。団体の組織からも冷たい目で見られていると感じるようになり、精神的に追いつめられて、3年前、親に『もうやりたくない』と告げました」

 両親は大反対したが、関口さんの意思は固かった。ただ、団体内での両親のメンツもあるため、形式上籍だけは残したものの活動は一切しなくなったという。完全に離籍するのではなく、折衷案を採用したのは双方にダメージがわずかで済む、最良の選択だったといえよう。

「親が信じたもの、私が青春を捧げてきたものをやめたときは、本当にツラかったです。でも、今は大好きな歌に注力できるし、“自分のため”だけに生きています」

 嫌なことをやめる瞬間はツラい。だが、二世の呪縛から解放された彼女の人生の視界は良好だ。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

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