出版社がIT企業に買収され、ブラック企業化。苦しんだ若手社員の末路
政府による働き方改革が進められているなか、それでもしぶとく残っている“ブラック企業”。メディアやネットで話題になってはいるものの、「強制的な長時間労働やパワハラが横行している会社は今でも多い」と嘆く人がいます。
過重労働になるパターンのひとつは、業界や会社の業績が悪化し続けて、人員が増えずに仕事だけが増えていく…というものです。
買収後、月100時間残業が発生
「出版不況のなかで、予算や人員が減らされるのにやることは増えるばかり! なのに『残業を減らせ!』と言われるのは本当に理不尽です」
こう嘆くのは、出版社に勤務している山本修一さん(仮名・33歳)。新卒で出版社に入社し、スポーツ系雑誌の編集者として5年目に入りました。しかし、入社後に業績悪化が進み、数年前、とあるIT企業に買収されます。
もともと残業は多く、ブラック企業気味ではあったそうですが、買収した親会社による“改革”で拍車がかかったそうです。
「買収後にすぐにリストラが始まりまして、社員が一気に半分に。初めは6人のスタッフが3人になりました。そこから地獄の始まりでしたよ」と語る山本さん。人数が半分になり、仕事量は倍、残業時間は月に100時間を超えることも多くなったと言います。
50代は「いきなり給料半分」に
「雑誌部署全体で赤字だったので、黒字化するためにすぐにリストラが始まりました。40代以上の人々は、“辞める”か“グループ会社への転属”の選択を迫られることに。
しかもひどかったのが、50代になると給料がいきなり半分になるという恐ろしいシステムが導入されたんです! ベテランの人々はすぐに辞めてくれ、と言わんばかりでした。それに比べれば、若手や中堅の我々はマシでした」
とにかく黒字化を目指す親会社は「儲かる新規事業を考えろ」「動画のメディアを立ち上げろ」など、雑誌を作るだけで手いっぱいなのに無理難題を押しつけてくる。
また、親会社から「人件費を削れ」と指示されている上司からは「残業が多いんじゃないか?」と詰められる日々。山本さんは「終わりのない残業生活にすぐに嫌気がさしてきました」と当時を振り返ります。