「浅草から東京タワーまで」という依頼も…人力車を引く仕事のやりがいとは
必要な知識を先輩から学んでいく
「先輩に付いてもらいながら人力車を引く“実技”もありました。教習車にあるような補助ブレーキはもちろんないので、危険なときは隣りで止めてくれるように並走してくれていました。僕と同じく新米の車夫とペアで1人が人力車を引き、もう1人が客として乗り込んで、仕事としては欠かせない観光案内、いわゆる接客も学んでいました」
一方で、体力がいる仕事なので、強靭な肉体が必要なのかとも思ってしまいますが、こっちゃんさんは「女性の方も活躍されているし、運動が苦手な人でも意外と体力はあとからついてきます。むしろ、お客さんを盛り上げることの方が大切」と話してくれました。
パンク修理などのメンテナンスも自力
かれこれ10年以上にわたり、浅草で汗を流し続けている人力車夫のこっちゃんさん。現在は、雷門周辺からお客さんを希望する目的地まで届けるという忙しない毎日を送っているといいますが、日々のおおよそのスケジュールも教えてくれました。
「自営業なので決まった休みはないのですが、僕の場合は、週6日ほど稼働しています。人力車を引いていたり、道ばたで止まっている光景を連想されるかもしれませんが、1番欠かせないのが営業で、雷門の辺りでチラシを手にしながら乗ってくれそうな人に声をかけています。
人力車のメンテナンスも自分たちで行っています。それこそ雨の日は汚れが付きやすいので車体を洗ったり、タイヤの状態を確認したり、場合によってはパンク修理もします。どうしても大がかりな修理などが必要になったときは、人力車を専門に手がけている職人さんへ相談するときもあります」