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UberEatsメニューはどう作られる?「専門飲食店」の知られざる苦労

ビジネス

UberEats専門飲食はITベンチャー経営に近い

柴田泰成

ベンチャー投資家・柴田泰成氏

――これまでUberEatsに触れたことや飲食店経営の経験は?

永田:UberEats配達員を体験しました。説明会に行ったら「1日で学生など150人が配達員に登録する」と言われ、これはすごいと。

――柴田さんは、いろいろなベンチャー企業を見てきましたが、その目から見ても可能性を感じましたか?

柴田:ゴーストレストランの経営って、一般の飲食店と違い、ベンチャー起業に近いんです。料理人がこだわりの食材を使い、美味しい料理を提供するのではなく、店舗の売上データから消費者のニーズを探り、日々細かく調理法やオペレーション改善していくほうが勝てる。ひたすらPDCAを回していくやり方は、ITベンチャーに近い感覚だと思います。

 ただ、これって日本独特のやり方で、アメリカは配送代行サービスが4、5社あって、もっといろんなニーズがあるんです。実際、独立したいシェフの人がキッチンだけ借りて、こだわった料理を試してみる事例もあります。

 日本だと配送代行サービスは、配達員の数を見てもUberEatsの一強状態。都心にはコンビニもありますし、そこで勝つには味よりオペレーションですね。一方、「6curry」(サラダ感覚で食べるカップカレー、2018年秋より会員制の実店舗もオープン)みたいな新しいフードコミュニティもありますよね。ああいうファンを増やしていく試みも面白いですね。

まずは味に自信がある「たこ焼き」で始めたら…

永田義雄

株式会社ミリオンプレート代表取締役の永田義雄氏

――実際、お店を開くまでは何をしましたか?

永田:店舗は不要ですが、料理を作る場所は必要なので、協力してくれる飲食店を探しました。知り合いがやっている目黒のお好み焼き屋のキッチンを間借りし、そこから商品開発。UberEatsの目黒エリアでたこ焼き屋が2件しかなかったのと、唯一自信を持って作れる料理が「たこ焼き」だったので始めてみたのですが、売上が伸びず1か月で閉店しました(笑)。

――どううまくいかなったのでしょう?

永田:まずランチタイムにたこ焼きを食べる人があまりいなかった(笑)。あと、冷めるとどうしても味が落ちてしまうし、調理時間が長い。それから、作る人によって、焼き加減がまちまちになって、味がブレてしまうんです。だから、あれだけ作って味にブレがない「銀だこ」は改めてすごいなと思いました。

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