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セブン-イレブン「24時間営業」に加盟店が怒り。ビジネスモデルに限界も?

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セブン&アイHD、3000人規模リストラの背景

 続いて、セブン&アイHDの直近の決算報告を「2020年2月期 第2四半期決算短信」をもとに確認します。

 直近四半期はセブン&アイHDとしては「減収増益」(利益は過去最高額)でした。そのうち、セブン-イレブンを中心とする「国内コンビニエンスストア事業」「海外コンビニエンスストア事業」については、それぞれの営業収益は前年同期比+0.4%・+0.5%となっており、緩やかに伸長しています。

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減収増益だったセブン&アイHD「2020年2月期第2四半期決算短信」(※同社決算書より)

 2019年10月の決算説明会にて発表されたセブン&アイHDのリストラ計画についても触れておく必要があるでしょう。

 この件は、イトーヨーカ堂を中心とする「スーパーストア事業」と、西武・そごうを中心とする「百貨店事業」の不採算店を、2022年度までに閉店し、自然減も含めて約3000人をリストラする計画です。

 ただし、セブン&アイHDについてはセブン-イレブンを中心とする「国内コンビニエンスストア事業」「海外コンビニエンスストア事業」がメインであり、ここで解説すべき問題があるため、この計画についてはこれ以上深く触れません。

2)社長のキャラ:生え抜き組

 続いて社長のキャラクターを見ていきます。セブン&アイHDの現在の代表取締役は井阪隆一氏です。1980年にセブン-イレブン・ジャパンに入社後、着実に内部昇格を果たし、2009年にセブンイレブン・ジャパン社長と、セブン&アイHDの取締役に就任。2016年、現職に就任した「生え抜き組」と言えます。

 ただ、井阪氏がセブン&アイHD代表に就任するまでの経緯がやや特殊です。

 発端となったのは2016年4月7日の取締役会で、セブン-イレブン・ジャパンの創業者である鈴木敏文会長(当時)が「井阪氏のセブンイレブン・ジャパン社代表取締役退任」を含む人事案を提出します。

 しかし、これが否決され、まもなく鈴木会長が退任を表明します。同年4月19日の取締役会で、井阪氏がセブン&アイHD代表に昇格する後任人事案が決議され、5月26日の株主総会で承認されます。つまり、鈴木氏が提出した井阪氏の退任人事案が否決され、結果として井阪氏が現職に昇格したことになります。

鈴木敏文という「小売の神様」

社長

※イメージです

 ここで、セブン-イレブン・ジャパン創業者である鈴木敏文氏の来歴に触れておく必要があるでしょう。

 鈴木氏は1963年、31歳のときにイトーヨーカ堂に入社。1971年に取締役に就任するも、アメリカで目撃したコンビニエンスストア事業に可能性を感じ、周囲の反対を押し切って1973年、(セブン-イレブンの運営会社である)米国サウスランド社とライセンス契約を締結、1974年、豊洲にセブン-イレブン1号店を立ち上げます。

 その後は同社トップとして40年間、君臨し、チェーン全店売上高4兆円、出店数2万店舗という巨大流通グループを作り上げます。その実績から「小売の神様」とも称され、退任時、株主総会の質疑応答で店舗オーナーからエールを送られました。

 ただし、イトーヨーカ堂の創業家である伊藤家の意向もあり、前述の鈴木氏の人事案は否決され、最終的にその座を退きます(現在の鈴木氏の肩書きはセブン‐イレブン・ジャパン名誉顧問)。井阪氏はセブンイレブンのフランチャイズオーナーとの件や、創業者一族との関係も含めて、今後も難しい舵取りが求められそうです。

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