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年収400万円の人は稼いでも「幸福を感じにくい」ワケ

コラム

幸福度は年収400万~500万から上昇しづらい

 また、日本をふくむ世界140か国の収入と幸福度の相関を計算した研究では、こんな結論も得られています。

・年収が400万~430万円を超えた場合、そこからさらに幸福度を5%高めるには追加で年に400万~430万円が必要になる

 つまり、すでにあなたが年に400万円を稼いでいるなら、もし年収が倍になったとしてもほんのちょっとしか幸福度は上がらない可能性があるわけです。

 もちろん現在の日本人の年収は約350万~360万円ぐらいが中央値なのでもう少しのびしろがありますし、各国で税負担の割合やインフレ率などが異なるため、これらの数値は必ずしも正確だとは言えません。

 さらに細かいことを言えば地域によっても生活コストは変わるため、大都市と地方でも上限は変わるでしょう。とはいえ、多めに見ても私たちの幸福度が年収400万~500万のあたりから上昇しづらくなる可能性は高いと言えます。おおまかな参考にしてください。

給料アップの効果は1年しか続かない

サラリーマンと給与明細

「お金で幸せが(ある程度までしか)買えない」のには、大きく2つの理由があります。

① お金を持つほど限界効用が下がる
② お金の幸福は相対的な価値で決まる

「限界効用」は経済学で使われる概念で、モノやサービスが増えるほどそこから得られるメリットが下がってしまう現象を表したものです。

 何も難しい話ではなく、どれだけ好きなケーキでも本当に美味しいのは最初の一個だけで、矢継ぎ早に2個、3個と食べていけば、やがて味もわからなくなっていくでしょう。この状態を、ちょっと難しく「限界効用が下がった」と表現しただけです。限界効用の低下はどの文化圏でも見られる現象で、私たちはいくら贅沢をしようがすぐに慣れてしまい、幸福度はもとのベースラインにもどります。

 また、年収に限って言えば、給料アップによる幸福度の上昇は平均して1年しか続きません。

 3万3500件の年収データを分析したバーゼル大学の調査によれば、たいていの人は給料がアップした直後に大きく幸福度が上がり、その感覚は1年まで上昇を続けます。しかし、給料アップの効果が得られるのはそこまでで、1年が過ぎた後から幸福度は急降下を始め、それから3年もすればほぼもとのレベルまでもどっていくようです。給料から得られる喜びは実に短命です。

 そして、もうひとつ、お金から得られる幸福は相対的に決まりやすい、という問題もあります。年収アップの喜びとは、給与明細の絶対額ではなく他人がもらう給料との比較で決まるのです。

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