冬ボーナス、都内企業は平均77万円。業界別ランキングと差がつく理由
建設はトップ。小売・飲食は低水準
鳥山:建設業の好調な理由は、直近の東京オリンピック需要による業績の伸びが影響しています。国土交通省が公表しているデータに基づけば、手待ち工事高が増加しているため、2020年も業績が急激に落ちるということはなく、引き続き高いボーナスは期待できるのではないでしょうか。
鳥山:自動車業界も業績を堅調に伸ばしています。ただしこれは国内の業績が良いわけではなく、海外の売上が伸びているためです。国内では都市部へ人口が集中傾向であり、自動車が無くても公共交通機関で十分という人の割合が増えているのではないでしょうか。
また、自動車業界は労働組合が強く、毎年賃金交渉を行うことで、少しずつボーナス含む賃金を増やしているという特徴もあります。
教育・学習支援のボーナスが高いのは?
――教育・学習支援業界のボーナス額が高い(約153万円)のは意外にも感じますが、なぜでしょうか。
鳥山:教育・学習支援は、最初のグラフが示すように、加重平均した基本給が最も高い業種です。従って、ボーナス計算上、有利な構造となっています。また、基本給が高い理由としては、教育/学習支援は、学校の先生、塾講師など一般的に高度な専門性を求められ、人件費以外ほとんどコストがかからないビジネスモデルのため人件費還元しやすいためです。
――逆に、卸売・小売業や宿泊業・飲食サービス業のボーナス額が比較的低い(55~60万円)のはなぜでしょうか。
鳥山:これらの業種は、上述のボラティリティが小さい業種に該当し、また特定の個人に付加価値があるというより、仕組みや設備そのものに付加価値があるため、ボーナスが低い傾向があります。
卸売は、工業製品等の原料などを仕入・販売して手数料収入を得ますが、需給が大きく変動しません。また、小売や飲食などの箱物ビジネスも季節性はあるものの通年を通せば大きく需給は変動しません。
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ここまで、経団連が大手251社を対象とした「2019年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結金状況」と、東京都が都内1000の労働組合を対象に調査した「2019年年末一時金 妥結状況について」の2つのデータを基に、大手から中小企業までのボーナス事情を深掘りしてもらった。
「ボーナス額=景気次第」というイメージを持っている人も多いが、業界によって左右される側面も大きいようだ。ボーナスを知ることは、会社や業界をよく知るきっかけになるのかもしれない。
<取材・文/ミノワ>