ふるさと納税の「人気特産物」に変化が…。自治体職員が語った、現状と課題
「モノ消費」から「コト消費」へ
さらに、有田市は体験型のお礼品にも力を入れており、地元のアクティビティのほか宿泊事業者、飲食店を巻き込んで、寄付者との関係性を築けるよう意識しているという。「モノ消費」から「コト消費」へと変わる中、観光の要素を取り入れた体験型のお礼品は魅力的なのかもしれない。
広島県廿日市市シティプロモーション室室長の松尾和政氏も同様に、体験型のお礼品について説明した。
「法改正によって、ふるさと納税を取り巻く環境が変化し、自治体もそれに合わせて方針を転換しなければならない。廿日市市では、観光スポットで知られる宮島を堪能いただける旅行体験を、さとふると共同で開発し、地域活性化や市の認知拡大に繋げた」
新たな取り組みを開始・検討する自治体は6割
アンケート調査では、ふるさと納税制度の見直しによって、自治体が新たな取り組みを開始したり、検討したりする割合は6割以上という結果になった。
単なるお礼品の豪華さや物珍しさといったものではない、地域の魅力が真に伝わるお礼品の企画・開発が必要になったといえるのではないだろうか。
具体的には「体験型お礼品の開発」(45.7%)や「寄付金の使い道の見直し・情報発信強化」(34.4%)、「クラウドファンディングへの取り組み」(33.1%)のような取り組みを行うことで、特産品の販路拡大や自治体のPRに役立てているという回答が見られた。
各地域の持っている「ここにしかないもの」を掘り起こし、磨き上げるために地元が一丸となる。地場産品を対外的に発信しようとする気概があること自体、ひいては日本の地域が盛り上がり、地方創生の一助になりうるのかもしれない。
<TEXT/古田島大介>