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企業も知らない「学生インターン」のルール。格安アルバイト扱いする例も…

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不当に低い賃金しか支給しないケースも

 総合的な要素を判断して上記の判断基準に当てはまる場合には、インターンシップ生であっても労働者とみなされ、労働法に従った対応が会社に求められます。具体的には労働契約書を書面で交付する・最低賃金を保証する・休憩時間・法定労働時間を守る・割増賃金を支払うなどです。

 このルールを守らずに、例えば電話番や受付、事務作業、梱包作業、あるいはアシスタントなど、朝から夕方まで会社の業務をさせ、就業体験の日当と称して実質不当に低い賃金しか支給しないなどというケースもあるようです。

 インターンシップは、原則的には労働契約を前提としていません。会社側は、実施するインターンがどのような内容であるかをよく把握し、インターン生が労働者に該当するか否かをきちんと判断しておく必要があります。仮に労働者に該当するのであれば、労基法などの法規を遵守しなければなりません。

会社には安全配慮の義務がある

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 また、インターンシップ生が労働者に該当しなくても、会社には安全配慮の義務がありますので、インターンシップ中の環境には配慮しなくてはなりません。事故があった場合、会社に過失があれば損害賠償の責任が発生する可能性があります。労働者であれば原則として労災保険が適用されますが、本来のインターンシップであれば労災の適用はありませんので、民間の保険に加入するなど、会社はリスク対策をとっておくべきでしょう。

 インターンシップ生のみなさんは、インターンシップとして訪問した会社で、会社の指示や命令を受けて作業などを行う場合、そしてその指示された内容が会社本来の業務(仕事の一部)である場合には、自分がどのような待遇を受けているのか意識して、注意をするようにしましょう。

 疑問に思う点があれば、先ずは大学などの窓口に相談する。大学などを通さず、個人で参加している場合には、労働局の労働相談窓口に問い合わせをすることもできますので、ひとりで悩まず、ぜひ周囲に相談してみてください。

<TEXT/澤上貴子>

さわかみ社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士/健康経営エキスパートアドバイザー。会社の発展を支え、従業員のモチベーションを育む労務コンサルティングを目指す。20年以上の豊富な実務経験にもとづく、的確で時には攻めの姿勢のアドバイスと、きめ細やかな対応が評価を得ている。労働諸法令に関する指導・相談・手続・講師業、その他多岐に亘る分野において、良心と強い責任感をもって展開している

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