ドワンゴ決算に見る「ニコニコ動画」の明らかな不振ぶり
3)人軸:エンジニアと企画職に悲しき乖離
今まで整理してきた情報を踏まえて、冒頭で示した「退職エントリー」に立ち返ります。本エントリーは10月31日に投稿されると、Facebookで2600以上の「いいね!」が、はてな内でも2000以上のブックマークがつくなど話題になりました(※執筆11月15日時点)。
退職エントリーの投稿者は、2011年にドワンゴに入社したとのことなので「ニコニコ動画の黄金期」に入社したことになります。憧れていたサービスの運営会社に入って、実際に開発できるとか、そりゃ楽しいわ。
その一方で、このカウンターとして11月1日には現役社員による「現職エントリー」が投稿されます。これを書いた人は、2015年に新卒入社したとのことなので経営統合以降の社員であると言えます。つまり、KADOKAWAグループの意向を踏まえて選考されており、あまりにもバックグラウンドが違います。エントリーを読んでも「なんで同じ会社にいるんだろう?」ってレベルの違いです。
このままだとn=2の話になるので、参考として、口コミサイトも合わせて確認します。「社名 評判」で探すといくつかヒットします。今回はOpenwork中心にチェックします。1つのサイトの口コミ件数が少ない時は「enジャパン」「カイシャの評判」など複数サイトを見てください。
■ 良いところ
・勤怠の自由度が高い
・コミュニケーション能力があまり高くなくても勤務できる
・エンジニアの給与が高い
■ 良くないところ
・企画職の給与水準が低い
・スケジュールにルーズだったり、受け身な社員がいたりする
・会社が赤字を出している話や、その危機感が社内に伝わっていない
上記を踏まえると、「エンジニア職とその他職種から見えている景色が著しく違う」ことが推察されます。これは、退職エントリー、現職エントリー双方の話を裏書きするものでもあります。
ホワイト/ブラック度判定
エンジニア:★☆☆☆☆
その他職種:★★★☆☆
今回は職種別に判定を分けました。エンジニアの場合、現在は全体的に売り手市場で、経験者についてはIT系の同業他社が厚遇してくれる可能性も高いので、リアルイベントを会社が重視している現状に不満があるなら転職を強くおすすめします。ただし、コミュニケーションの不備や、自由すぎる勤怠をそのまま不問にしてくれる会社はあまり多くないので、その点のみ注意したほうがよいと思います(少なくともドワンゴよりは厳しくなることは確実です)。
企画職などその他の職種については、会社の方針としても冷遇されるリスクは比較的低いので、給与面に特段の不満がなければ働き続けても良いと思います。ただ、KADOKAWAグループの方針をうまく読むことが求められるので、情報収集力に不安がある場合はおすすめできません。知らないうちに不本意な評価や、部署異動を求められる可能性が高いでしょう。
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