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ドワンゴ決算に見る「ニコニコ動画」の明らかな不振ぶり

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動画コンテンツからリアルイベントへ

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2014年のニコニコ超会議 ©Koichiro Eto CC BY 2.0

 2008年7月には初のリアルイベント「ニコニコ大会議2008」が開催され、来場者数2000人を動員するなど盛り上がりを見せます。

 2010年10月にはプレミアム会員数が100万人を突破し、同時期に出版大手のKADOKAWA(KADOKWAグループ)と、運営元である株式会社ドワンゴとの事業提携が発表されました。2011年5月には台湾で「ニコニコ大会議2011 in 台湾」が開催されます。

 2007~2011年の期間は、のちにメジャーデビューし、日本を代表することになるアーティストたちがニコニコ動画上で活躍しており、コンテンツ面でも黄金期と言えます。代表例だけでもこんな顔ぶれです。

・ヒャダイン(前山田健一)…2007~2011年
・ryo(supercell)…2007~2009年
・ハチ(米津玄師の前身)…2009~2011年

 2012年4月には幕張メッセにて「ニコニコ超会議」が開催されます。ちなみに、このニコニコ超会議、私も参加者として行きました。この「ニコニコ超会議」自体は初回開催で4億円の赤字を計上するものの、それ以降、毎年開催されるようになります(2019年時点)。これはドワンゴ社の「企業沿革ページ」でも確認できます。

 このように整理してみると、KADOKAWAグループとの事業提携以前にもニコニコ大会議を開催するといったイベント注力の萌芽があったものの、あくまで「動画サービス・コンテンツが盛り上がった結果」であると言えます。しかし、2010年のKADOKAWAグループとの事業提携以降はリアルイベント(超会議など)に力をいれて運営されていることが伺えます。

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意気揚々とチェックインする筆者。アルパカモフモフしてきたよ(※筆者のFacebookログより)

2)企業軸:KADOKAWA内でのドワンゴの評価は?

 続いて、企業沿革についても同様に時系列順で見ていきます。

 ニコニコ動画は設立当初はドワンゴの子会社の「株式会社ニワンゴ」にて開発・運営されていました。2014年11月にドワンゴがニワンゴを完全子会社化し、2015年にドワンゴと合併することで消滅。以降は、ドワンゴによって運営されています。

 また、ドワンゴ自身も、KADOKAWAグループとの事業提携に始まり、経営統合を経て、KADOKAWAグループの子会社となっています。ドワンゴとKADOKAWAの関係の時系列は下記の通りです。

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2010年 ドワンゴと電子書籍や各種コンテンツの配信に関して包括業務提携を実施
2011年 ドワンゴと資本提携を実施
2013年 ドワンゴからの株式取得によりスマイルエッジ子会社化
2014年 株式会社ドワンゴと経営統合、持株会社KADOKAWA・DWANGO設立
2015年 10月1日株式会社KADOKAWA・DWANGOからカドカワ株式会社に商号変更
2016年 ネットの高校(単位・通信制)学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」開校
2019年 ドワンゴを子会社化、カドカワ株式会社の商号を株式会社KADOKAWAに変更

(※KADOKAWAグループの企業沿革より引用・抜粋)
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 上記を踏まえると、ニコニコ動画派生のリアルイベント事業「ニコニコ超会議」の強化はニワンゴがドワンゴと合併したことではなく、2010年以降、KADOKAWAグループとの資本提携によって強化されていると言えます。

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