隣の席が汚いのも「うつ」の原因に?“心の病リスク”を医師100人が判定
我々が人生の多くの時間を費やすのが“職場”。昨今、働き方改革が叫ばれているが労働環境改善の兆しはいまだ見えず、劣悪な環境で心身がボロボロになってしまうことも。
そこで、システム、備品、コミュニケーションなど、100人の医師に調査をして明らかになった、職場に潜むさまざまな病気のリスクを取り上げていく。
流行りの労働形態を悪用している会社に要注意
精神衛生は、パワハラや過重労働だけでなく、狭い職場など、ストレスの蓄積によっても脅かされる。シニア産業カウンセラーの見波利幸氏に職場のリスクを聞いた。
「例えば隣人が整理整頓に無頓着で、書類がこちらのスペースに侵食してくるようなら大きなストレスになります。席と席の間の通路が狭く、イスを引かないと通れないような職場も良くない。積もり積もってうつにつながるんです」
ちなみに、産業医の大室正志氏いわく狭い職場は能率が低下するとか。
「隣席との間隔が1mもないような職場では、二酸化炭素濃度が2000~3000ppmに達することがあり、これは交通量が多い首都高速道路に匹敵する濃度です」
中途半端なフレックスやリモートワークは逆効果
とはいえ、リモートワークも必ずしも解決策にはならない。なかでも、クラウドには意外な落とし穴が。
「クラウドで仕事をするとデータを無尽蔵に詰め込んでしまうため、知らぬ間にキャパ以上の仕事を抱え込んで、押しつぶされてしまう人もいます」(大室氏)
見波氏もIT社会の弊害を指摘。
「LINEやSlackを取り入れる企業が増えており、それによって休日も確認・返信しなければならない環境が生まれています」
中途半端なフレックスもNG。
「毎朝ミーティングがあるなど、実質的に定時がある職場はストレス大です」(健康社会学者の河合薫氏)
また、成果主義の会社も要注意。
「あまりにもノルマが厳しいとか、会社全体・所属部署・個人の3つの業績全部がアップしないと給料が上がらないといった場合は、『賃金カットのための成果主義』である可能性が高いです」(見波氏)
流行の制度も、適切に運用されているか冷静な見極めが必要だ。