Uber Eats配達員の商品投げ捨て事件に、ベテランからは「気の毒」の声も
飲食店の宅配代行サービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員らが10月3日、労働組合「ウーバーイーツユニオン」を結成したと発表した。
Uber Eatsはアメリカのウーバーテクノロジーズ(以下、Uber)が提供するサービスで、ユーザーが専用アプリを利用し注文をすると、配達員が飲食店へ商品を取りに行き、配達を行うものだ。
一方で、注文者と配達員間でのトラブルも起きている。2019年10月5日、Twitterにて、とある注文者の投稿が波紋を呼んだ。2016年のサービス開始当初から配達を行うベテラン配達員、“たけ”こと尾崎浩二氏(Twitter:@tktk2ub)に話を聞いた。
「商品投げ捨て事件」に見る課題
投稿者によると、商品は予定時間から約30分も遅れて到着し、スープが溢れるなど崩れた状態だったという。投稿者が受け取りを拒否したところ、マンションの共用部分に投げ捨てられ、投稿には破れた紙袋から無残にも放り出された商品の写真が添えられていた。
この件について、尾崎氏は「配達員が商品を投げ捨てた行為は、まったく肯定できるものではない」と前置きした上で、Uber側にも問題があると指摘する。
「投稿者がUberのカスタマーセンターに連絡した際の『配達員は個人事業主だから関与できない。自分で警察に連絡してほしい』という対応に怒ったお客さんがTwitterに書き込み、炎上につながった。今回のケースはUberのシステムや、サポート体制の根本問題が表面化したに過ぎず、この配達員にすべての責任があるとされてしまうのは気の毒だと感じます」
また、アプリ側の不具合やお客さんの入力ミスで、配達員の意志とは関係なく、すぐに商品を配達できないケースもあるという。
「目的地と違うところにピンが立っていることがあります。そうすると、あちこちまわって10分、15分があっという間に過ぎてしまう。あとは到着しても、シャワー浴びている、寝ているとかで、いくらインターフォンを押しても出てこなかったりすることもあります」
そのためUber側が定めた“10分ルール”というものがある。「配達場所に着いているのにお客さんと連絡が取れないとき、そこで10分間待機して、それでもまだ連絡が取れずに手渡せなかった場合は廃棄になります。この場合、配達員への報酬は入ります」(尾崎氏、以下同)。
Uber Eats配達員の“リアルな1日”
そもそも配達員はどのようなスケジュールで、何件の配達をこなし、平均的な収入はどのくらいなのだろうか。
「毎日30件ほど配達しています。アプリは朝8時~深夜1時までオンライン(稼働状態)にできるため、人によって異なりますが、そのうちの8時間は働いています。1日1万2000円くらいは稼げるので、月20日間の稼働で24万円(1万2000円×20日)ほどは稼げます。それ以上稼いでいる人も多くいますが、平均的にはこれくらいだと思います」
Uber Eatsの公式サイトによると、合計の運転時間が12時間の上限に近づくと、安全機能によってアプリが一定間隔で通知を発信。さらに配達時間が上限に達すると、その後の6時間は自動的にオフラインになるという。
1日に、より稼ぐコツとは?
また、配達の依頼が多くなるのは12~13時のランチタイム、18時半~20時半のディナータイムだが、配達員自身の食事や、休憩はどのように取っているのか。
「基本的にピークタイムを避けた15~17時に一時的にアプリをオフラインにして、ラーメンなどをサクッと食べに行く人が多いです。私は時間がもったいないので、オンラインのままコンビニのパンやおにぎりで済ませることが多いです。注文が多い雨の日は、比較的注文が少なくなる時間帯にオフラインにして意識的に休憩を取ろうとすることもあります」
そんななか、尾崎氏には配達件数を効率よくこなすコツがあるという。
「お店でバッグにすばやく積み込むようにしたり、届ける際には、自転車なら近道を使うなどして急いで運ぶことで、分単位でロスを削ることを心がけています。また待機も依頼が入りやすいような場所でするようにしています。経験や研究によってだんだんわかります」