妻がケツを叩いてくれてよかった。『惡の華』原作者が語る、結婚と創作
妻がケツを叩いてくれたのはよかった
――20代は、かなりの変化の時期だったわけですね。
押見:前半はしっちゃかめっちゃかで、がむしゃらでした。『惡の華』が始まるくらいのタイミングで子供が生まれて、そこから本当に責任感が芽生えていった感じです。
――結婚はもちろん人それぞれですが、ご自身の経験としてはオススメしますか?
押見:あのときに結婚していなかったら、自分は今でも結婚してないでしょうね。妻がケツを叩いてくれたのはよかったと思います。「本気でやれよ」と。自分ひとりだったら、もっとぐだぐだしていたかもしれません。
エロスのエネルギーみたいなものがすごくあった
――『惡の華』を書かれたときに、仲村さんを見て、奥様に「これ、私だよね」と言われたりしませんでした?
押見:インタビューなどでモデルだと話していたので(苦笑)。あ、でも妻に初めて認めてもらえた作品です。それまでの作品は「つまらなくはないけど、もっとできんでしょ」みたいな感じでしたが、『惡の華』は「やればできんじゃん、認めてやるよ」みたいな感じだったので、やったぜと(笑)。自分でもちゃんと納得のいく形にできたという手ごたえはありました。
――そんな作品が、映画になりました。最後に、生身の役者さんがご自身の物語のなかで動いているのを観て感じられたことを教えてください。
押見:井口(昇)監督のことはもともと大好きでしたし、とにかく役者さんがみんなすごかったです。漫画とのズレを全く感じませんでしたし、色気のある映画だなと思いました。エロスのエネルギーみたいなものがすごくあった。自分が好きで観ていた青春映画の系譜みたいなものがあるんです。『台風クラブ』とか『太陽を盗んだ男』とか。そういう系譜にある映画だなと感じて、すごく嬉しかったです。
<取材・文・撮影/望月ふみ>