eスポーツ「プロゲーマー」って稼げるの?実は厳しい収入事情
2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップテンに入賞し、ブームの兆しが見えている「eスポーツ」。
前回の記事ではゲーム業界、eスポーツ業界のアナリストとして、eスポーツビジネスの最前線で活動する但木一真氏に、eスポーツとはそもそもなんなのか、そしてどのようなビジネスが成り立つのか聞いてみた。
今回は、eスポーツを取り巻く選手や関係者の“お金の問題”、そして業界の今後について聞いた。
eスポーツプレイヤーは稼げているのか?
――実際にeスポーツチームに所属している人たちは、それだけで生活できるくらい稼げていますか?
但木一真(以下、但木):ちゃんと稼げる人もいれば、そうではない人もいる、というのが現状です。eスポーツ選手の報酬には、大会賞金以外にもチームから支給される給料があります。大会賞金だけだと成績に左右されてしまうので、安定して稼ぐのは困難です。
月給制にして、選手がゲームに集中して取り組める環境を作り上げたほうが良いのは間違いありません。しかし、チームもそれほど収益があるわけではないので、固定給を払い続けるのは難しいのが現状です。
――選手に月給を払っているチームはあるのですか?
但木:日本では、世界大会出場経験もある「DetonatioN」というチームが初めて月給制を導入しました。それ以降も、月給制で選手を育てていこうというチームは少しずつあらわれていますが、まだ月給だけで十分な報酬をもらえている選手はほとんどいません。
eスポーツならではの特殊な待遇として、ゲーミングハウスというものがあります。チームメンバーがみんなで同居して、練習だけではなく生活をともにする仕組みです。そうやって生活する場所や設備、食料などを提供しているチームもあるんです。
ゲーミングハウスなら衣食住の保証があるということにはなりますが、選手が受け取れる報酬はお小遣い程度になっているケースが大半です。完全にeスポーツだけで自立して生活しているとはいえませんね。
選手活動だけで生計を立てるのは難しい
――流行り始めているとはいえ、まだ選手が十分な報酬を受け取れるほど環境が整っているわけではないのですね。
但木:もちろん、選手のために真剣に取り組んでいるチームはたくさんありますが、現状では選手活動だけで生計を立てるのは簡単ではありません。
ただ、eスポーツには選手として活動する以外にも、ストリーマーという役割もあります。ストリーマーとは、YouTube・Twitch・OPENRECなどの動画配信プラットフォームで試合を配信し、実況解説をする人です。
ストリーマーは、動画の広告収入やサブスクリプション(定額課金)、投げ銭(動画配信プラットフォームなどを通じて、視聴者が配信者にお金を寄付する仕組み)などが主な収入源になります。毎日のように配信して視聴者に露出するので、選手よりもストリーマーのほうが有名になり、人気になることもあります。現時点では、eスポーツにかかわって稼ぐという意味ではストリーマーのほうが有利かもしれません。