ホステスが孤独死と向き合う「特殊清掃人」になった理由
布団を開けたら膨大な量のウジが…
ホステスの時代に、他人の部屋も掃除していた経験があるそうで、これまでの特殊清掃の仕事を通して、「自分なりのやりがいもある」と言います。
「故人が死後1か月放置されていた現場では、布団を開けたら膨大な量のウジが張り付いていたのは記憶に強く残っています。
孤独死された方の部屋はゴミが散乱しているのも傾向にありますが、清掃していくうちに『普通の部屋だったんだ』というのがやはり分かるんですよ。私はとにかくキレイになっていくさまを見るのが気持ち良くて、自分にとっては天職だと思っています」
3年ほど連絡を取らなかった母と再会
作業を通して「故人がどう生活していたのかも考える」と話す仁井田さん。現場へ立つようになり、孤独死にふれたことから「親とも連絡を取るようになった」と自身の変化を伝えます。
「母親と仲が良くなくて、ホステスの時代は連絡も取らなければ実家にも足を運ばなかったんです。でも、特殊清掃の仕事に就いてからは『人はいつ死ぬか分からない』と思うようになり、何となく会いたくなったんですよ。
3年ほど音信不通だったはずなのに、あるとき急に帰省したら『急にどうしたの?』と驚かれました。今は清掃作業以外にも住宅に関わる資格の勉強もしているので、この仕事はもちろん、いずれは家のすべてに関われるプロフェッショナルになりたいです」
人の思いはさまざま。そもそもは「整理整頓ができる仕事に就きたい」という一心で特殊清掃へ関り始めた仁井田さんですが、現場での体験を通して、親への思いが込み上げてきたというのも、孤独死と向き合う現場ならではの感情といえそうです。
⇒次回、<20代男子・特殊清掃人が「孤独死現場」で見たもの>に続く。
<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>
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