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東大、早慶、ICU…高学歴学生も多い、異色の「就活合宿」ルポ

学び

自らへの弔辞に「死ぬな!」と一言

 かなり意外だったのが、最後のワーク「自らへの弔辞を書く」というもの。いつか死んだときの自分に向けて、自らの手で弔辞を書き、それを見せ合いながら4、5人で話し合います。

 生前の人生を想像して書き連ねる人、「死ぬな!」の3文字だけを書いて終わらせた人。参加者の書いたものは様々で、自分がこれしかないと思っていた価値観が揺らぎます。

就活

この弔辞を書いた参加者は「弔辞を書いてしまったら、そこに書いたような人生を送ると決まってしまうような気がして抵抗感を覚えた」と語った

 就活アウトロー採用を運営する「キャリア解放区」代表の納富順一さんは「このワークで、この人生で良かったと思えるか、何か感情がわき上がるかどうかが大事。それも含めて味わって欲しい」と語りました。

 いわゆる就活で行う「自己分析」は、あくまでも企業に自分を売り込むために行うものであり、“仕事をしていく上で”、自分がどのような人か考えることが前提となっています。

 今回体験したワークは、それとは対照的に「自己分析」というよりも「自己理解」。就活イベントではあるものの、どのようなキャリアを築くかという視点を越えて、自分の人生と人格について真摯に向き合い理解を深められる時間でした。

高学歴、非実学志向…参加者の傾向は?

 多くの参加者と交流するうちに、ここにいる「就活アウトロー採用」はどのような人が多いかが見えて来ました。

 まず驚いたのが、参加者の学歴の高さです。早稲田、慶應をはじめとして上智、ICU、明治といった有名私大の参加者が多く、東大の参加者も複数人見受けられました。

 就活アウトロー採用という奇をてらった名前でも、このイベントを見つける情報感度の高さと、その理念を理解し、参加する行動力まで持つにはそれなりの学歴が必要なのかも知れません。

 しかし、学歴とは関係なく“ワケアリ”な人が多く、留年を何度も繰り返していたり、演劇や音楽に没頭していてドロップアウトしていたりと、エリートコースのレールに乗ってきたような人は少ないように感じました。

 また、実学志向の学生は少ないように感じました。大学の専攻の話になると、経済学や法律学よりも、「哲学科」「歴史学科」「数学科」「心理学科」「建築学科」などの比較的マイナーな学科の学生。あるいは美大生、音大生が目立っていたように思います。

 私も大学では、歴史学科に在籍していますが、既存の就活に疑問を持つような人は、人文学系や芸術系の学生に多いのかもしれません。

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