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古舘佑太郎がハッとした「台本読んでる?」銀杏BOYZ峯田の言葉

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 ロックバンド「銀杏BOYZ」の楽曲をベースに、峯田和伸さんと、脚本家の岡田惠和さんが紡いだ小説を映画化した『いちごの唄』が公開中です。主演を務めるのはミュージシャンとしても活動し、俳優としては、岡田さんが脚本を務めたNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』の出演で注目を集めた古舘佑太郎さん(28)。

古舘

古舘佑太郎さん(28)

 学生時代に“天の川の女神”と呼んでいたヒロインに再会して思いを募らせる青年・コウタを好演している古舘さんに、俳優業への思いや、一度休止した後に新たな活動をスタートさせた音楽業に関すること、ミュージシャンと俳優の二足のわらじを履く先輩の峯田さんからかけられた言葉などを伺いました。

峯田の世界観を体現しようとプレッシャーに

――ミュージシャンとしても役者としても先輩の、峯田さん(銀杏BOYZ)の音楽があっての物語で主演ですね。

古舘佑太郎(以下、古舘):最初は、峯田さんの意思を僕がと思って緊張しました。ちゃんと世界観を体現できるかなと。撮影のギリギリまで監督とリハーサルをしていたのですが、数日前に、練習しすぎてコウタのことが分からなくなってしまったときがあったんです。プレッシャーでジタバタしてしまって。

――クランクインまでには方向性が見えたのですか?

古舘:初日の2日前くらいに石橋(静河)さんと初めて本読みをして、そのときに全部が変わったんです。それまではコウタという役に自分を近づけるのか、自分にコウタを近づけるのかが定まっていなくて。もともとコウタは峯田さんと脚本家の岡田さんのグルーヴで生まれたものだから、そこに近づけたかったんですが、それがなかなか無理で。

 でも石橋さんと本読みをしたときに、そういったことを一切考えずにコウタになれたんです。石橋さん演じるあーちゃんは、劇中でコウタの女神でしたが、僕にとってもリアル女神でした(笑)。

――岸井ゆきのさんの演じたお隣さんのキャラクターもとても印象に残りました。

古舘:岸井さんとお芝居するのは初めてでしたが、実は19歳くらいのときから、友達なんです。でも最近会っていなかったので、「久しぶり~、最近どうしてる?」と、同窓会で会ったような感覚でした。

 共演は楽しかったのですが、でも当時の僕は音楽をやっていて、お芝居をしているのを見られるのは初めてだったので、恥ずかしくもありましたね。キスされたり、蹴られたりもしましたし(笑)。でも、お互いに成長して再会できて、とても嬉しかったです。

好きな言葉は「破壊と再生」

いちごの唄

© 2019「いちごの唄」製作委員会

――俳優デビューから5年が経ちます。

古舘:僕としてはもっと経っているようなイメージでした。俳優デビューした『日々ロック』(’14)のときは、初期衝動みたいなものがありました。今は割と頭ばかり大きくなっているところがあるので、最初の頃の衝動を忘れないようにしたいと思っています。

――『日々ロック』のとき、ミュージシャンと俳優の二足のわらじを履いてやっていこうと思っていたのでしょうか? それとも出演したことで俳優業が面白くなっていった?

古舘:もともと俳優をやるつもりはなかったんです。やってみたら? と言われることはありましたが、僕なんかがという感じでした。

 ただ、会社のほうに、映画でバンドマンを探しているという話が来ていて、聞いてみたらそれが『日々ロック』の映画化で入江悠監督だと。もともと原作コミックのことも、入江監督のことも大好きだったので、やりたい! と応募しました。別の作品、別の監督だったらやっていなかったと思います。

――もともとやるつもりではなかった俳優業が、今も続いているのはなぜでしょう。

古舘:やるたびに、楽しいなと思う瞬間や充実感があったり、新しい出会いがあったりするからでしょうか。あと僕、かっこよく言うと、「破壊と再生」って言葉が好きなんです。

 積み上げたものを一度壊す、みたいな。新しい挑戦を常にしていたくて。これできるかな、こんなことをやったらどうなるんだろうというものに、えい!って飛び込んじゃうんです。それが最初は音楽だったし、お芝居だったという感じです。

――好奇心が旺盛なんですね。

古舘:そうですね。でもひとつのことをずっと貫いて積み上げていく職人タイプの人への憧れもあります。でも自分はそういうタイプではないと分かっているので。

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