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チュート徳井も出資「グリー出身」起業家が挑む“1兆円市場”

ビジネス

 保護犬猫と迎えたい人のマッチングサイト「OMUSUBI」や、獣医師やトリマーなどの専門家によるペット情報メディア「ペトこと」などを運営する株式会社シロップのCEO・大久保泰介さん(32歳)。

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シロップのCEO・大久保泰介さん(32歳)

 今や、日本のペットの数は子供の数を上回るほど、ペット市場は年々成長しています。矢野経済研究所のリリースによれば、2018年度ペット関連総市場規模は小売金額(末端金額)ベースで前年度比101.5%、1兆5422億円にものぼります。今回は、そこに挑む大久保さんの経緯や、これから解決していくべき課題について聞いてみました。

社内の新規事業として提案した“ペット事業”

――学生時代から起業を考えていたんですか?

大久保泰介(以下、大久保):就活のときは起業はまったく考えていなくて、学生に人気の広告代理店や商社といった大企業に入りたいと思ってました。ずっとサッカーが好きで、いつか海外でサッカーをしてみたいという夢があって「海外へ行きたい」という想いを1つの軸に就活をしていました。

 するとユニクロから「ロンドンのマーケティングチームに入らないか?」とお誘いいただいたんです。英語も話せないのに、大学在学中に渡英しました。「今しかできないこと」をどんどん選択していましたね。

――チャレンジ精神と行動力が凄いですね。起業のきっかけは何だったんでしょうか?

大久保:卒業後はユニクロの同僚がグリーに転職して紹介いただいたこともあり、グリーに入社したんですが、グリーには一度起業した後、会社をたたんで入ってきた人や、起業して独立していく人が大勢いたんです。そういう環境で、起業のハードルがすごく低くなっていきました。

――なぜペット事業で起業しようと思われたんですか?

大久保:実は、もともとは犬が苦手だったんです。小学校の頃は「友達の柴犬の赤ちゃんがほしい」と親にお願いしていたのですが、歳を重ねるうちに、怖い存在と勝手に解釈していました。そんな中で社会人になって犬と暮らすことになり、苦手意識も消え、動物病院やドッグカフェなどペット業界はIT化されていないアナログな世界だと知りました。

 最初はグリー社内の新規事業案としてペット事業を提案したんですが、評価されたものの採択はされませんでした。諦めきれずに役員に相談すると「起業してみればいいんじゃない?」と言われて、VC(ベンチャーキャピタル)の方を紹介していただきました。

 出社前にプレゼンをして、出勤する電車の中で「1000万円出資したい」とオファーの連絡をいただいたんです。正直右も左も分からない中でしたが、すぐに上司に状況を説明し、起業へ向けて走り出しました。

チュートリアルの徳井義実さんが投資家に

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「オフィスには飼っている犬や猫と出勤することもできます」と大久保さん

――今年からお笑い芸人のチュートリアル徳井さんが御社の株主になったと伺ったのですが、どういうきっかけがあったんでしょうか?

大久保:徳井さんは愛猫家で、弊社の「ペトこと」というペット情報メディアで取材させていただいたことで知り合いました。徳井さんは動物番組にも出演されているんですが、可愛さにばかりフォーカスして、責任を持って飼うことの難しさにはあまり触れられないことに疑問を持っていたそうです。そういう価値観が僕らと似ているなと感じていました。

 今年発売予定のオリジナルのドッグフード開発のために出資していただけないかLINEをしてみたところ、10分後すぐに「出資します」と返事が来たんです。不安になって2回も確認しました(笑)。

――株主になっただけではなく、広報としても活動をされているんですよね。

大久保:「ペトこと」でエッセイを書いていただいています。1枚の猫と女性の写真を見て、徳井さんが妄想するというものなんですが、お笑い芸人さんだけあって発想がスゴい(笑)。飼うことの難しさを強調するだけではなく、ペットと過ごすライフスタイルの豊かさをバランスよく伝えていきたいので、徳井さんのように発信力のある方に協力していただけるのはとても有り難いです。

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