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中国はすごい国?ダメな国?経済成長の原動力は何なのか

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中国共産党の支配が揺らぐことは考えにくい

 先日、香港では「逃亡犯条例」改正問題について大規模デモもあった。今後10年間、経済成長が続いたとしても、中国社会は安定しているのだろうか。

「主催者発表で200万人、警察発表で30万人が参加しました。その中間が実数とみても、100万人がデモに参加したわけです。これはすごいことですが、なにも『香港に民主主義をよこせ』とか『中国共産党の支配に反対』と訴えたわけではありません。刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようにする逃亡犯条例改定は勘弁して欲しいという訴えです。

 人間って、いま持っているものを奪われるとすごい反発しますが、なにか新しいものを欲しいという時にはそこまで力は出ないですよね。今ある香港の自由が奪われそうになったと感じたからすごいデモになったわけですが、これが香港を民主化して欲しいという運動だとなかなか賛同が集まらないという。

 中国本土も似ていて、自分の権利が奪われる、たとえば化学工場が作られて環境が悪化する、法律改定で土地の権利がなくなるとかあったら、人民はめちゃくちゃ反発すると思いますが、『民主化して欲しい!』という運動はなかなか起きないと思いますね。経済がすこぶる悪くなったりしたら話は別ですが、短期的には中国共産党の支配が揺らぐような事件が起きるとは考えづらいのではないでしょうか」

<取材・文/西谷格>

【高口康太】
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国の政治、社会、文化など幅広い分野で取材を続けている。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『現代中国経営者列伝』、編著に『中国S級B級論』など

週刊誌などのフリーライター。神奈川県藤沢市出身。上海に6年住んでましたが、最近日本に戻りました。『ルポ中国「潜入バイト」日記』(小学館新書)発売中。ツイッターは@nishitanitadasu

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