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中国はすごい国?ダメな国?経済成長の原動力は何なのか

ビジネス

中国人の国民性として起業が肌に合う

 日本では、景気刺激策として、新卒一括採用の見直しなども議論になっている。一時期、ファーウェイの日本法人で「新卒初任給40万円」が話題になったが、中国の就活はどんな感じなのだろうか。

「中国では実力がそのまま給料に直結するので、何のスキルもない新卒の給料はものすごく安いんです。経験を積むと価値が上がる。中国人はすぐに転職してしまうので、逃げられないように給料を上げなきゃいけない。なので新卒直後は給料が激安でも、それからしばらくは右肩上がりで給料が上がるんです」

 日本ではここ数年、東大をはじめとするベンチャーが話題になることがある。中国でも起業ブームとかはあるのだろうか。

「社会全体が個人主義なので、中国人の国民性として起業が肌に合う面はあるでしょうね。会社に入っても個人主義で、転職しても営業先の引き継ぎなんてことはせず、転職先にお客さんごと引き連れていくなんてことはよくあります。中国人にとっては、起業と就職の違いがそれほどないのかもしれません。どこに行っても、一匹狼という気質があるんです」

中国全土で巻き起こった「996勤務」論争

習近平

© Eleftherios

「この頃、中国ではIT企業などで、『996勤務』という言葉が話題になりました。朝の9時から夜の9時まで、週6日間働くという働き方を意味していて、“チャイナドリーム”を実現するためには、これぐらいがむしゃらに働く必要があると言われたのです」

 まるで日本でもあった昭和の“モーレツ社員”を連想してしまいそうな働き方だが、中国にも“働き方改革”の波が迫ってきているようだ。

「中国はまだまだ社会全体が若くて、大企業の創業者たちが、まだみんな生きているんですよね。成り上がり気質な組織ですし、日本や欧米を見ているので大企業病にならないように工夫しています。たとえば、ファーウェイは45歳定年制で、若さや勢いを保っています」

今の中国社会は40歳。あと10年は安泰?

 まだまだ経済成長が続きそうな中国だが、この先どこまでそれを維持できるのだろうか。

「少なくともあと10数年は大丈夫だと思います。中国が「改革開放」と称して市場経済を取り入れたのは、1978年なのですが、当時生まれた世代が20歳を迎えた頃に中国は“世界の工場”と呼ばれ、30歳を迎えた頃に世界の市場と呼ばれるようになりました。

 中国の経済成長は、この世代のライフストーリーと連動しているんです。となると、この世代が50歳を迎える2030年ぐらいまではある程度の経済成長が続き、その後は少しずつ衰退が始まるのかもしれません」

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