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中国はすごい国?ダメな国?経済成長の原動力は何なのか

ビジネス

 この1~2年ほど「中国すごい論」をよく見る。その象徴的な記事のひとつとして思い浮かぶのは、文筆家の藤田祥平氏が『現代ビジネス』に寄稿した「日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと」という文章だろう。

中国

© Sarkao

 発表は2017年12月。ちょうど1年半前である。この頃を境に、スマホ決済やシェアエコノミーといった中国社会の先進性に注目するニュースが目立つようになり、パクリ、不衛生、安全性無視といった中国の遅れた面についてのニュースは減少傾向となった。

 中国は果たしてS級の先進国家なのか、あるいはB級の遅れた国なのか。『中国S級B級論』(さくら舎)の著者・編者で、中国ジャーナリストの高口康太氏に話を聞いた。

「日本より10年進んでいる」は本当か

 まずは、一昔前に比べると、中国社会は日本より進んだ部分も多いのでは? という直球の質問からぶつけてみると、「はい。とはいえ、言うまでもないですが、決してすべての面で日本より進んでいるわけではありません」との回答。

「これまで『中国は日本より10年遅れている、いや5年ぐらいだ』という見方をしていたことに、無理があったと思います。いまだに30年遅れている面もあれば、日本より5年先をいっている面もある。これまでの先進国とは違う、独自の謎の進化を遂げていると言えるでしょうね」

 では、中国社会が発展していった原動力はなんなのだろうか。

「一言でいうと、“野蛮なエネルギー”でしょうね。深センに本社のある中国のスマホメーカーIDEAの楊濤董事長は『パクリ携帯は野蛮な成長だったが、じつはその野蛮な成長こそが秩序ある成長だった』と語っています。つまり、一見無秩序であったり、ルールを無視したりする部分があったからこそ、世界的な競争力を身につけていったとも言えるのです」

無秩序だからこそ新しい産業が生まれる

帰宅中のビジネスマン

※画像はイメージです

 そう、無秩序で規制がユルいからこそ、新しい産業やビジネスが生まれやすいのだ。

「日本でもパナソニックの松下幸之助やホンダの本田宗一郎、ソニーの盛田昭夫といった創業者たちは、今の価値観からすると、かなり“野蛮”な人たちだったと思います。当時の日本企業は欧米に追いつき追い越せで、時にはアメリカ製品をパクったり、エスパー研究所とか変なものをいろいろ作っていましたよね」

 翻って考えてみれば、スマホでタクシーを呼べる配車アプリなども日本では規制が強く、普及しづらい現状がある。

「東日本大震災が起きたあと、これをきっかけに日本も大きく変わるのではないか、グレートリセットが起きるのではないかとも言われましたが、そんなことは起きず、失われた20年、あるいは30年がズルズルと続いています。でも、年金制度がいよいよ崩壊しそうなニュースも流れていますし、この先どこかで劇的に変わらないといけないタイミングが来るのかもしれません」

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