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「プレゼンテーションを始めてもよいでしょうか?」英語でどう言うか

コラム

 Allow(許す)という単語を上手に使うと、謙遜表現が効果的に英語で表現できるのをご存知ですか?

 日本語では「○○させていただきます」と口にすることが多いでしょう。例えば、「挨拶を一言述べさせていただきます」「早速ですが、プレゼンテーションを開始させていただきます」などの表現はよく耳にします。

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 しかし、これを英語にすると、I would like to start my presentation.のように訳してしまい、英語としては正しいのですが、ちょっと謙遜した丁寧な表現とは言えないことが多くあります。

「○○することを許してください」の英語訳

【第34回】Allow

 そんな時に便利なのがAllow。学校でAllowと学ぶときには、You are not allowed to smoke in this restaurant.(このレストランでタバコを吸うことはできません)」などのように、受動態で学ぶことが多いのではないでしょうか? 実際、受動態で良く使われる表現です。

 Am I allowed to go to the bathroom?(トイレに行っていいですか?)と先生に聞く学生もいますし、You are not allowed to bring your phone to the classroom.(携帯電話を教室に持ち込むことは許されていません)などと禁止を表すことはよくあります。

 それに加えて、Please allow me to….なども耳にする表現。これが謙遜の表現です。「○○することを許してください」と言うのが直訳です。

 Please allow me to start my presentation.と言えば、「プレゼンテーションを始めさせていただきたいと思います」の意味です。May I start my presentation?のように“May”を使うほうが丁寧ではありますが、「プレゼンテーションを始めてもよいでしょうか?」と許可を取るニュアンスにとれます。

May、Shoudとの使い分けをどうする?

英語

 プレゼンテーションをスタートする時間にはなっているけれど、まだ会議室に到着していない人もいるので、もう少し待ったほうが良いかもしれない……などという時に周囲の意向を確認するときがMayです。逆にPlease allowには、「プレゼンテーションを始めます」という意思が含まれます。

 何かをするかためらっているMay I~や、Should I~との違いがここにあります。上司が部下のプレゼンに対し、Allow me to make a few comments.「いくつか言わせてください」ということもよくあります。

 Allow meのように動詞から文章を始めることは命令形ですから、もちろん注意が必要です。また、Pleaseをつけても命令形の文章であることには変わりません。このあたりのニュアンスには十分に気を付ける必要はあります。しかし「ちょっと言わせて」とか「ちょっとやらせて」という気持ちを表したい時には非常に便利な表現です。

 Allowと同じ意味でPermitもあります。しかしこの用法でPermitを使うことはあまりありません。Permitの方がAllowよりもフォーマルな響きが強いことも影響しているのかもしれません。

<TEXT/木内裕也>

会議通訳者、ミシガン州立大学研究者。アメリカ大衆文化、アメリカ史の研究を行うほか、国際一流企業、各種国際会議などの通訳を行う。またプロサッカーの審判員としても活躍。著書には『同時通訳者が教える 英語雑談全技術』『耳と口が英語モードになる同時通訳者のシャドーイング』(ともにKADOKAWA)など多数。英語で仕事をする人の応援サイト「ハイキャリア」にも執筆

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