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優しかった本部長はどこへ?会社を「人柄」で選んだ新卒社員の後悔

学び

「いつまで電話してんだ、アポイントは!?」

 入社後、配属が決まり、執務室に入った日、大田さんは自分の認識が誤っていたことを痛感します。そこには、別人かと見紛うほどに厳しい顔をしてふんぞり返っている本部長、ノルマ未達の理由を30分間にわって部下に詰問する部長、鬼気迫る表情で電話をかけ続ける社員たちがいました。

「当初抱いていたアットホームな印象とはかけ離れていました。新卒で入社した同期もドン引きしていましたね。なかでも、本部長は、特に恐ろしく、怒鳴ってない日がないんです。彼が出勤してきたときは執務室の雰囲気が一気に重くなります。

 営業自体もアポ電から始まるのですが、同じリストから電話をかけるので基本的に客の取り合いになり、この人とこの人は仲が悪いという情報も常に耳に入ります。職場は殺伐としていました。同期もすでに何人か辞めてしまい、僕もすぐに求人サイトに登録しました(苦笑)」

 社内のハードボイルドな雰囲気に耐えられず、転職活動を始めているという大田さん。会社に対する現在の胸中は?

「今ではこの会社に入ったことをかなり後悔しています。結果にストイックな環境なので能力はつくと思うのですが、日頃のストレスが半端ない。鬱になって辞めた先輩もいるし、離職率も高い。入社早々に『友人や後輩を紹介してくれ』という依頼を人事部からもすぐに受けたとき、だから先輩は自分を誘ったのかと合点がいきました」

仕事において何を大切にするか

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 特に、「食事会で人柄以外の要素を見極めようとしなかったことを後悔しています」と大田さんは続けます。

「会食に出席していた社員は営業から出世した人たちだったので、社会人経験のない僕のような就活生なんて簡単に騙せるんです。うちは労働基準法に違反するようなことはしていないし、残業自体もそれほど多くないので、人によっては良い職場環境だと思いますが、僕は殺伐とした雰囲気で協調とは程遠い仕事をするのは嫌なんです。人の真似をするだけの、自分のない就活をしてしまったことを、今では後悔しています」

 目先の雰囲気だけで会社を選び、失敗してしまった大田さん。内定を承諾する前に、「Vorkers」や「転職会議」などのサービスを使って社員の口コミを見れば、このような失敗はなかったかもしれません。しかし、社会人経験のない就活生が会社や職務について理解できることには限界があります。

 恐らく誰しも入社前と後で、大小問わず職場に対するギャップを感じたことがあるとは思います。もし転職するとすれば、これからが自分が何を重視しているかをはっきりさせ、そのことについて徹底的に調べるのがベターでしょう。

特集・新入社員がおどろいた「入社後ギャップ」

<取材・文/けんぢる イラスト/小池祐子(@ikeko322)>

ライター。若者のキャリア、仕事について執筆

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