オイシイ転職話にはウラがある。簡単に見抜く方法は…
転職サイトをペラペラ見たり、転職エージェントにおすすめの転職先を紹介してもらったりしたら、予想外にオイシイ話だった。
そんな話を、転職希望者からたまに聞くかもしれない。ただ、「今より楽しそう、条件がよさそう」と思ってもちょっと待ったほうがいい。オイシイ話にはウラがあることも多いのだ。なぜなら、そんなオイシイ転職話が本当に存在するなら、あなたに順番が回ってくる前に、全ての椅子が埋まっていてもおかしくないからだ。
その転職話が本当にオイシイのか、あるいは実はウラがあるのか――。見極めるたったひとつの基準を、新刊『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)著者の松本利明氏に解説してもらった(以下、松本氏の寄稿)。
オイシイ話でも「離職率が高い」職場は
離職率とは、ある時点の企業の在籍人数に対し、一定期間(一般的には1年、あるいは3年)のうちにどれだけの人が退職したかを示す割合のことです。離職率の高低から、その企業に社員がどれだけ定着しているかがわかります。離職理由としては、
・有給が取れないなど、実際の労働条件が悪かった
・長時間労働が当たり前で体がもたなかった
・労働時間が長いが、報酬が十分ではなかった
・職場の人間関係の悩みが払拭できなかった
・企業の将来性に不安を感じた
・研修など教育施策が満足に行われず、スキルを習得できなかった
など、離職率の高さは、数多くの組織運営の問題を複合的に抱えています。
離職率が高いということは、その組織に大きな問題があるはずですが、ここに罠があります。
社員を「使い捨て」に考える会社の特徴
離職率が高い企業ほど「社員1人が辞めたところで、また雇えば問題ない」「募集をすれば労働力なんか、また補充できる」と考えているのです。そう、社員を使い捨ての道具としか考えていないのです。その手口は共通です。
・すぐ採用が決まる
・報酬の交渉は値切ってきて、評価されればすぐ取り戻せると言う
・逆に報酬提示が高く、すぐ働いて欲しいと言う
などが離職率の高い組織の特徴です。確かに離職率が高い業界もありますが、問題のある企業が多数を占めます。
日本の離職率の平均は8.5%(平成29年度上半期、厚生労働省「雇用動向調査」)ですが、これを目安にするのは危険です。同じ業種でも地方なら定年退職でしか退職者がいないということもよくあります。IT業界の離職率は15%前後が平均と言われていますが、大手で1%未満という会社もあります。
企業側も自分達に都合が悪い数字は言いません。ホワイト企業は成長率と退職率は相関しません。退職者も少なく、確実に成長していきます。ブラック企業は成長率と退職率が相関し、業績が上がれば上がるほど、人がどんどん辞めていくのです。