業績悪化のぐるなび、楽天が筆頭株主に。社員が寄せていた不安の声
株式会社ぐるなびが5月13日、2019年3月期の決算説明会を開催した。
通期売上高が327億2800万円(前期比9.7%減)、営業利益が12億1600万円(同74.4%減)、最終利益は5億8100万円(同81.8%減)と大きな落ち込みを見せており、3期続けての業績悪化となる。
ぐるなび減速の理由は?
主な事業は、飲食店の情報を集めたウェブサイト「ぐるなび」の運営だが、2018年度期は、総有料加盟店が前期比3%減の5万9660店舗、ユニークユーザー数も前期比400万人減の6100万人と減少している。なぜ、ぐるなびの業績は悪化しているのか。同社は、決算資料で、大きく2つの要因をあげて分析している。
1点目は「市場環境の変化への対応」だ。検索や販促手段への対応が遅れ、ネット予約などのニーズ上昇に上手く対応できなかった。その結果、ユーザーを店舗に紹介する力、送客力の低下を招いたとしている。
2点目は「飲食店のサポーターとして目指すべき姿との乖離」である。自社メディアを中心に据えすぎてしまったこと、高額な取引先のみに依存しすぎてしまっていたことで、加盟店の解約などにつながったのだ。
これらの原因を踏まえたうえで、ぐるなびは、楽天との業務提携、外部サービスとの連携などを今後の施策に据えるという。5月22日には、ぐるなびの社長に、楽天創業メンバーである杉原章郎常務執行役員が就任することを発表。5月31日付で楽天は、ぐるなびの滝久雄会長から株式を取得して、15%を保有する筆頭株主になる方針だ。
インターネット黎明期にスタートしたぐるなび
ぐるなびのサービス開始は1996年と非常に早い。今でこそ数えきれないほどのネットを活用したサービスがあふれているが、ぐるなびは「日本におけるインターネット黎明期」にサービスを開始している。
飲食店検索サイト「ぐるなび」を開設以降、日本のネット史と重なるようにして普及・拡大が進み、1999年にはNTT docomoのiモード、翌2000年にはJ-PHONEのJ-スカイに対応。2003年にはGPSに対応し、2008年にはYouTubeで動画配信サービスを開始している。
なお、当初は交通広告などを手がける株式会社NKBの一事業としてサービスが開始された。ぐるなびは、サービスの拡大に伴って、2000年に分社化という形で設立されている。企業の歴史はまだ20年弱だが、NKBは1948年設立と70年以上の歴史を持っている。
連結従業員数は2119人(2019年3月31日現在)、NKBは180人と公表されており、分社したぐるなびのほうが現在の従業員数は多い。なお、Yahoo!ファイナンスによると平均年齢は35.8歳で、平均年収は573万円である。