住宅購入は3月が狙い目? 元住宅営業マンが語る値引き販売の事情
格安物件は「国道◯◯号線」にアリ!
これからの時期、値引きされやすい物件の条件を安藤氏に解説してもらった。
「1つ目は竣工からの期間ですね。
売り主側は完成後数か月経てば在庫として扱い、半年も経過すれば処分も検討するようになります。すでに3月の時点である程度値下げしている物件もありますが、多少損が出ても処分して今期の売り上げにしたいと判断することもあります。
もうひとつは、エリアです。パワービルダーの独壇場となるような郊外の現場で値引き販売は行われやすいです。
首都圏で一例をあげるなら、国道16号線付近でしょうか。反対に販売価格に占める土地価格の割合が高い都内や人気エリアの物件は、値引きしづらいと考えてください」
格安物件に巡り合うための不動産選び
では、こうしたお買い得物件とはどうすれば巡り合えるのか。安藤氏はこうアドバイスする。
「地場で一番実績を持つ、取引高の多い活況な不動産会社が可能性アリです。
なぜなら取引高の多さイコール、売り主、販売会社、銀行の3者間で信用を蓄積してきたことを意味するからです。
過去に販売実績のある会社や担当者に、格安物件の情報は優先して流れますし、そういった担当者のなかには、事前に価格交渉の幅をもらっている人間もいます」
知名度やブランド力の点で、財閥や電鉄の名前を冠する不動産会社に安心感がありそうだが、こうした企業はオーナーから預かった物件の売却がメインであることが多く、建売の仲介にはそれほど力を入れていないとのことだ。
「安物買いのゼニ失い」とならないように…
住宅は金額が大きい買い物だけに、うまく値引きすれば車1台分くらいの節約効果も期待できる。狙わない手はないだろう。しかし、安いというだけで購入を決断すると後悔することになると安藤氏は指摘する。
「格安物件には北側道路や旗竿地など、不人気要因を抱えているケースもあります。数百万円のために住まいに小さな不満を抱えながら何十年住むことが本当に幸せか。
むしろ、少し高くても納得できる物件を買った方がクオリティ・オブ・ライフは高いかもしれません」
将来のリセールバリューまで考えると、価格”だけ”にこだわるのは最適ではないということだ。
そもそも住宅購入の動機が、結婚、出産、進学というライフイベントである人も多いはず。普段より価格交渉が成立しやすい時期ではあることは確かだが、家族の幸せを念頭に後悔のない物件選びを心がけたい。
<取材・文/栗林篤>