東武鉄道、ゴージャスな14系客室「ドリームカー」を導入。GWには臨時列車も
東武鉄道(以下、東武)は、2019年4月13日からSL・DL〈大樹〉(下今市―鬼怒川温泉間運転)の2号車にオハ14 505ドリームカーの連結を開始した。元JR北海道の車両で、3年ぶりの営業運転に就く。
ドリームカーの譲渡車両は1両のみなので、年間約40日の運転に限られるが、より快適で、ゆとりのある汽車旅が楽しめそうだ(2019年は24日間の運転を予定)。
夜行高速バスに対抗するため「ドリームカー小史」
JR北海道では、札幌―釧路間の夜行高速バスに対抗するため、急行〈まりも〉の14系500番代座席車5両をグレードアップ改造し、「ドリームカー」という名称で、1988年夏より営業運転を開始した。
その後、急行〈まりも〉の特急〈おおぞら〉格上げに伴い、ドリームカーは青森―札幌間の急行〈はまなす〉、青森―函館間の快速〈海峡〉にコンバートされた。
快速〈海峡〉は東北新幹線八戸延伸に伴う特急格上げで、2002年11月30日をもって廃止。一方、急行〈はまなす〉も北海道新幹線の開業、車両の老朽化も重なり、2016年3月22日の札幌到着をもって廃止された。
14系500番代は、ドリームカー1両を含む4両が東武、4両が大井川鐵道に譲渡され、新しい道を歩むことになった(大井川鐵道譲渡車は、いまだ営業運転に就いていない)。
ドリームカーの座席、床面、読書灯
ドリームカーの座席はグリーン車で使われていたものを転用し、リクライニングの角度を最大145度まで深くしたほか、シートピッチを1160ミリに拡大。このため、座席と側窓が一致しない箇所がある。
床面にはタイルカーペットを敷き、足音による睡眠の妨げを防止している。〈大樹〉は夜行列車ではないので、“特急スペーシアなみの豪華さを醸し出す車両”と解釈すればいいだろう。
頭上には読書灯を装備。バブル景気に改造された車両、新型車両の一部に採用され、流行していた。冬季の〈大樹6号〉下今市行きは、夜汽車の気分が味わえるダイヤなので、試しにつけると、いい雰囲気になるのかもしれない。
座席定員は48人。簡易リクライニングシートの2号車に比べると16人少ない。また、鬼怒川温泉寄りのトイレ、洗面所は撤去された。
私は急行〈はまなす〉、快速〈海峡〉で計3回乗車しており、普通車としての居住性はバツグンかつピカイチ。乗客の多くは、リクライニングを最大限に倒すと、後ろの乗客に迷惑がかかると思ったのだろう。適度なところで止めていた。逆に言えば、そこまで深くしなくても充分過ごせるのだ。