U-30の起業家たちが語る、スタートアップの苦労と未来へのビジョン
清水氏と同じく、創業当初は「ビジネスで漠然と何かを盛り上げたいけど、具体的にどうすればいいか分からなかった」と語る後藤氏。給与の即日払いサービスというアイデアを具現化した根底には「お金持ちがもっとお金持ちになるようなサービスばかりだった」という、問題意識があった。
「僕の中には、お金を持っていない人がお金持ちになるための道筋を作る。もしくは、持たざるものが挑戦できるような環境を作るという思いがありました。資金の偏りによる機会損失を失くしたいという意思は今でも変わりませんが」(後藤氏)
それを教えてくれたのは『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)であり、ヒップホップの真髄でもある「持っていないヤツが持っているヤツに勝つ」精神だった明かす。
「この先のビジョンとしては、新たなお金のあり方を広めた後にグラミン銀行のようにノーベル平和賞を獲得すること。そのための通過点として事業拡大も視野にありますが、自分たちのツールが一人ひとりの現在価値を高めるために機能すればと思います」
起業家たちに共通した思いとは?
起業した先の未来で、社会がわずかでも変わればというのはそれぞれの起業家陣に共通した思い。
根本にあるのは「モノ作りが好きな気持ち」だという加藤氏は、自社のサービスを「海外へよりいっそう展開させていきたい」と今後のビジョンを明かします。
「事業価値ばかりを追い求めることで、いつの間にかユーザーを置いてけぼりにはしたくないというのが僕の本音です。プログラミングは人種や性別、年齢といったあらゆる垣根を超えられるものだし、僕自身はその力を信じています。
現在も例えば、民族間の紛争が続くルワンダの人たちが楽しみながら学んでくれている状況があり、自分たちが何となく『こんなモノがあったら』と提供したものが、ともすれば地球の裏側にまで影響を与えられるというのを痛感しているんですよね。だから、喜んでくれる人たちの顔を想像しながら、よいプロダクトを今後も提供していければと思います」
失敗や試行錯誤にひるむことなく、まずは“迷わず挑戦してみる”というのが、新たなビジネスへの第一歩かもしれません。
<取材・文/カネコシュウヘイ>