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U-30の起業家たちが語る、スタートアップの苦労と未来へのビジョン

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東日本大震災をきっかけに脱サラした

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 カンファレンスの主催者でありネット広告サービス「会話広告 fanp」で注目を集めた株式会社ZEALSの清水氏も同じく、会社を立ち上げたのちに実績を築き上げていった一人。きっかけは「東日本大震災でした」と語ります。

「東日本大震災が発生した当時は、岡山県の倉敷市で飛行機を製造する会社に勤めていました。でも、振り返ると、年功序列の職場で定年退職間際の方々を見ていて『このまま自分もこうなるのか』と疑問を抱えていたんですよね。

 そのさなかに東日本大震災が発生して『自分は社会の歯車でいてはいけない』と危機感をおぼえて退社し、東京の大学へ通い始めました。その後、リブセンスの村上太一社長の本に衝撃を受けて、翌日から会社の起こし方などを自主的に調べるようになり、起業に至りました」

 一方、プロダクトファーストで会社を立ち上げることになったのが、オンラインプログラミング学習サービス「Progate」を手がける加藤氏。「3年生になるまでは、何のビジョンもなく普通の大学生活を過ごしていました」と明かします。

「僕はもともと、起業への並々ならぬ情熱があったわけではないんです。きっかけは3年生の進路選択時に情報系へ進み、プログラムを学んだことでした。ただ、授業はプログラムの歴史など学術的な内容が中心だったし、すでに幼少期からプログラムにふれている同期生がいたりしたので挫折しそうになったんですよ。

 でも、大学とは別に現在の『Progate』の共同創業者や仲間たちと自主的に勉強して、受託案件を手がけるうちに『自分が価値を作るものがお金になる』ということを実感するようになりました。その後、自分たちが試行錯誤していた思い出をたよりに『プログラミングを学習するツールがあれば』とひらめき、サービスを展開して現在に至っています」

 起業への入り口は十人十色。そのきっかけは意外とささいなもので、ふとした瞬間にわきでた思いやアイデアが源泉になるようです。

順風満帆なだけではない起業。この先のビジョンは?

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 起業やスタートアップといった言葉には、心なしか華やかなイメージもつきまといます。しかし、立ち上げ当初は「本当に手探りだった」と話す登壇者も。

「僕はカンファレンスのテーマでもある『日本をぶちあげる』という思いから起業したので、初めは先が見えていなかったんですよね。ちょうどその頃に、サイバーエージェントの藤田晋社長の本に『飛び込み営業から始まる』とあったので、溜池山王や渋谷を中心に、手当たり次第に営業をかけていきました」(清水氏)

 ときには「日本をぶちあげたい!」と、さまざまな会社に飛び込んだこともあったとか。

「ようやく手応えがつかめてきたのは、初めてWebやアプリの制作案件を受注したときでしたね。今振り返れば報酬は10万円だったのですが、受託案件を引き受けられたという成功体験で『こうすれば売上げが立つのか』ということが分かって。

 ただ、その後に受託案件だけでは駄目だという危機感が募るようになり、小さな対話型のロボットの開発に着手し始めたことで対話技術の可能性に気が付き、現在の事業に行き着きました」(清水氏)

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