自分の実力を正当に評価してもらうための「勘違いさせる力」
「なんであんなヤツが重要な仕事を任されているんだ?」と思ったことはありませんか?
人気ブロガーのふろむださんの著書『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ダイヤモンド社)には「勘違いさせる力」の大切さが、認知心理学や行動経済学の観点から解説されています。
ただ単に「運が良かっただけ」と思うかもしれませんが、どうやらそれだけではないようです。
そもそも「ふろむだ」さんって何者?
ふろむださんは、2000年代から「分裂勘違い君劇場」というブログを立ち上げて、情報を発信し続けているブロガーです。仕事論に関する記事を多く執筆し、ネットで話題になった記事もあるので、目を通したことがある人は少なくないでしょう。
ただ、本人の経歴については「複数の企業を創業し、そのうち1社を上場させた」「有名な本の監訳・翻訳・執筆、海外講演をした」程度しか明かされていません。
ペンネームでこの本を書き上げた理由を本文の中で、次のように述べています。
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「人間関係に縛られず、『本当のこと』を書きたかった。立場上、書けないことも、誠実に書きたかった」(P30)
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著者の言葉通り、本書は特定の立場に忖度することなく、ズバズバと端的に書かれています。では、彼が言う「勘違いさせる力」とはいったい、どのようなものなのでしょうか。
周囲を勘違いさせる力は自らの資産となる
冒頭で、911テロ後のブッシュ政権の支持率の上昇について触れられています。911以前のブッシュ政権の支持率は高くありませんでしたが、テロ対策への支持率が上がったことで、同時に経済対策の支持率も47%から60%まで上昇したそうです。
また、1974年のカナダの選挙で、顔の良い候補者が、そうではない候補者の2.5倍もの票を獲得していたという事例も紹介しています。日本でも、就活の現場では、まことしやかに「顔採用がある」と言われています。
このように、「プラスのイメージを引き起こすもの」があると、それにつられて「全体的に優秀」だと思ってしまう思考の錯覚がさまざまなところで働いていると著者は指摘しています。
「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」という勘違いは、一種の資産として機能し、この現象を「錯覚資産」と著者は名付けます。錯覚資産を多く持っている人は、相応の実力を有していなくても、「実力があると周囲が錯覚」してしまうために、結果的によいポジションを手に入れられることがあるのです。