サル痘は同性愛者以外にも感染リスクが。「偏った報道への危機感」を専門家に聞く
2022年7月頃から「サル痘」という感染症の名を耳にする機会が増えた。厚生労働省は「1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めの感染が確認された、オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症で、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています」(同省HPより)と説明している。
サル痘は5月頃から世界的に感染が拡大。日本でも7月下旬に初めて感染確認がされ、9月22日時点で5例目が報告されている。あまり聞きなれない感染症であり、新型コロナウィルスの存在も相まって不安感を覚えている人も多いはず。一方、サル痘のメディアでの報じられ方について違和感を表明する人も出ている。
同性愛者向けの感染症予防の啓発や情報提供に取り組む特定非営利活動法人「akta」理事長を務める岩橋恒太氏(@akta_info)に話を聞いた。
現在はアメリカなど北米を中心に
岩崎氏は「(サル痘について)厚生労働省や国立感染症研究所が公表しているものに詳細な説明が載っています」としつつ、「急性の発疹や発熱、倦怠感などの症状がある感染症です」と感染が広がった経緯を話す。
「当初はヨーロッパ、現在はアメリカなど北米を中心に感染が確認されており、これまでの感染者は世界で6万3117人以上(2022年9月20日時点)。また、死亡したケースは、サル痘が普段から報告がされていない国々では8件に限られています」
原因となるウイルスは特定されている
「治療もワクチンも準備されているのですが、海外のように事前にワクチンを打っておくということは、現段階では行われていません。とはいえ、予防的に接種できるか、現在の体制を含めて、国で検討・整備が進められています。サル痘の原因となるウイルスは特定されており、感染経路も明らかになっています」
正しい情報を得ていれば、必要以上に怯える必要はないのかもしれない。