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サル痘は同性愛者以外にも感染リスクが。「偏った報道への危機感」を専門家に聞く

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“特定のマイノリティだけの病気”ではない

HIV

 すべての人が必要に応じて検査や治療やケアを受けられることこそが、感染症の流行を終わらせることにつながるようだ。

「実際に今回の報道を受けて、職場や学校で『ゲイでサル痘が流行してるんだって』と『あからさまに言われることがとても辛い』という相談をいくつも受けており、安心してケアを受けにくい状況があります。先述した通り、サル痘は誰にでも感染する可能性があります。“特定のマイノリティだけの病気”と早合点することで、『自分には関係ない』と考えてしまうかもしれません」

 30年以上前にエイズ(後天性免疫不全症候群)が流行した時は、報道によって「エイズ=ゲイの病気」という認識が生まれ、セクシャルマイノリティが偏見にさらされた。

エイズの時は「ショッキングな報道」

「私は今30代なので実際にエイズのパニックが起こった時のことは経験していません。そのため、経験者から聞いたり資料を読んで知ったことですが、エイズが出現した当時は原因がわからず、ウイルスも特定されておらず、検査方法や治療方法がない状況でした。

 一方、男性とセックスをする男性が原因不明の症状で亡くなっていくことがショッキングに報道されました。今以上に性の多様性に関して、理解や社会の受け入れが厳しかった時代です。病気そのものへの恐怖だけでなく、症状が出ていても『周囲からゲイだと言われるかもしれない』という不安から、医療機関に行くのが遅くなって症状が厳しくなってしまったことも多くありました。セクシャルマイノリティに差別的な視線を送る人も少なくなかったそうです。

 1980年代のエイズと現在のサル痘とは状況が異なり、原因や対策はハッキリしています。しかし、1980年代のエイズの時のように誤った報道があると、疑わしい症状が自分にあった場合でも、“ゲイバレ”を心配して病院や保健所に行くことをやめてしまうかもしれません。過ちを再び繰り返してはいけません」

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