飛行機の座席表から1つだけ抜けている「アルファベット」と、その納得の理由
飛行機ほど、好奇心をかき立てられる乗り物はない。何度も乗っていると、つい見過ごしがちになるが、一歩踏み込んで観察すると、飛行機が謎や不思議の宝庫だということに気づくだろう。あの大きな機体には、数々の疑問が詰め込まれているのである。
なぜ飛行機はいつも1万メートルの高さで飛んでいるのか? 出発時の燃料をあえて満タンにしない理由は? 飛行機にまつわる謎や不思議を網羅した『最新版 飛行機に乗るのがおもしろくなる本』(著・エアライン研究会)より、座席表示にないアルファベットとは?などを紹介する。
飛行機の窓はなぜ小さくて角が丸いのか?
フライト中、思わず窓に顔を寄せて外の景色に見入ってしまったりする。だが、なぜか飛行機の窓は小さくて四隅が丸い。四角い大きな窓ならもっと外の景色が見やすいのに……と思う人もいるのではないか。
飛行機の客室の窓は住宅の窓と違い、すべて四隅が丸くなっている。これは、窓を割れにくくするための工夫のひとつである。四角い窓だと、圧力や衝撃を受けたとき、角の部分に力が集中して亀裂が生じやすい。丸い形なら、力が全体に分散されて割れにくいからだ。ほかにも、飛行機の窓には、割れないようにするための、特殊な構造が施されている。
まず、客室の窓は3層構造になっている。一番外側のパネルは、機内の気圧を支えて空気を外側に逃がさない役目をしている。二番目のパネルは、万が一、外側のパネルが破損したときの代わりをする。一番内側のパネルは、ほかの2層のパネルを保護する役目をしている。材質はガラスではなく、透明のアクリル樹脂で、これらはガラスよりも軽くて柔軟性があり、ヒビが入っても広がりにくいので飛行機の窓には適しているのだ。
飛行中に窓が壊れたらどうなる?
空気の力は上空にいくほど小さくなる。つまり、気圧が低くなる。たとえば高度1万メートルの気圧は約0.2気圧だ。このとき機内は0.8気圧で、その差は0.6気圧。つまり、飛行機の胴体は0.6気圧の力で外側に膨らもうとしているのだ。これは、1平方メートルあたり6トンの力が加えられている計算になり、客室の窓1枚にも何百キロもの力が加わることになる。
もし、飛行中に窓が壊れたら、機内の空気が外に噴出して機内のものが外に吸い出されてしまう。実際、1973年には、窓が外れて乗客が外に吸い出されてしまう事故が起こった。そのため、飛行機の窓1枚にも細かい配慮がなされ、安全性が保たれているのだ。