「売れない韓国のモデルをググって…」ネットのウソ広告の手口を、業者が明かす
スマホの普及で、ネット広告の市場は拡大しつづけている。電通の調査では、2019年にはこれまで最多だった地上波テレビ広告(1兆7345億円)をネット広告(2兆1048億円)が初めて上回り、2021年まで首位を継続している。
そんななか問題になっているのが、「飲むだけで痩せる」や「有名教授もイチオシです」といった、悪質な「ウソ広告」。そんなウソ広告が、インターネット自体の信頼度を下げている。その制作に携わる人物に話を聞くことができた。
「バレなければ大丈夫」と言われ…
ベンチャー企業で正社員のライターとして働いていた20代女性がその手口を明かす。
「日本人と韓国人は顔が少し似ているので、ハングルで売れない韓国のモデルをググって、写真を勝手に使っていました。シミなどを加工して『キレイになりました!』とあたかも利用者と装った広告を創作していました」
さらに、関係のない白衣の男性の写真を利用して「名門大学の教授も認めた」などの虚偽の画像を作成したという。
「バレなければ大丈夫。儲かるから。そんな認識が会社の幹部にあるので、指示通りにウソ広告を作っていました。でも消費者を騙しているようで心が痛んで退職を決意しました」
グノシーの完全子会社『ディグウェル』でも…
こうしたウソ広告の作成には、名の知れた企業が関わっていたケースもある。前出の女性ライターが続ける。
「ニュースアプリのグノシーもウソ広告を創作していました。完全子会社『ディグウェル』では、少し前までダイエットのサプリメントの口コミを書き込み、消費者に誤認させるような売り方で儲けを出していたんです(※)。
美容のジャンルもウソ広告は多く、同社はシミをパソコンのツールで加工するだけの荒っぽい手法で、ウソ広告を量産していました。その悪質さは、東京都から行政指導が入るほどひどかった……」
ネット広告業界がクリーンになる未来はまだ先のようだ。
※行政指導を受けたグノシーは、2020年10月に第三者委員会の調査を公表。2017年から2020年1月まで不正な広告を制作していたとして謝罪した。
<取材・文/週刊SPA!編集部>