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15時間労働でも小遣いゼロ。嫁ぎ先の“ブラック農家”での地獄の日々

コラム

 最近は農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)制度を利用し、若い世代でも新たに農家を始める人が増えています。

農家

画像はイメージです(以下同じ)

 本人はそれがやりたいことなのでいいですが、パートナーも同じ気持ちとは限りません。恋人同士だったとしても会社勤めをしている女性にとっては、農家の男性に嫁ぐこと自体かなり勇気の要ることです。

 昔は配偶者も農作業に従事させるのが当たり前でしたが、現在はそうした風潮が薄れているのも事実。ただし、その一方で妻も働かせるのが当然と古い考えを持っている人が少なくありません。

「農作業はしなくていい」と言われていたのに…

最初に結婚した相手がまさにそんなタイプ。籍を入れる前は『経理など内向きのことをお願いしたい。畑に出なくていいから』という彼の言葉を信じていましたが、結婚して2か月と経たないうちに『やっぱり手伝ってほしい』となかったことにされました

 うんざりした様子で当時のことをそう振り返るのは専業農家の家庭に嫁いだ宮間風香さん(仮名・32歳)。義実家での同居だったこともあり、渋々受け入れますが「この時点でさっさと離婚しておくべきだった」と今でも後悔しています。

「お義父さんが家の絶対権力者で男尊女卑とまでは言いませんが、『嫁いできたらウチの流儀に従うべき』という古い価値観の持ち主。しかも、彼もその影響をモロに受けており、結婚した途端にそれまで隠していた本性を出してきました

毎朝3時起きの15時間労働…

農作業

 家事は姑と分担していましたが、朝ご飯の支度は半ば強制的に風香さん担当に。それも農作業は早朝から行うため、毎朝3時には起きなければなりませんでした

「全員パンではなくご飯派だし、朝からしっかり食べる家だったから夕食と同じくらい手間がかかるんです。食事を終えたら午前中はずっと畑仕事

 お昼ご飯はお義母さんの担当でしたけど、私は経理などの事務仕事全般をこなし、さらに洗濯や掃除、買い物など家のこともしなきゃいけない。晩ご飯は2人で協力してやっていましたが1日の労働時間は15時間は間違いなく超えていました

 ゆっくり休憩する時間もほとんど与えられず、強烈な睡魔に襲われて立ち仕事をしながらウトウトすることも。夜になっても義両親や夫より早く寝るわけにもいかず、毎晩夜遅くの就寝を強いられていたため、睡眠時間は3~4時間でした。

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