閉店相次ぐTSUTAYAと、堅調なゲオ。逆風のレンタル業界で差がついたワケ
好きな映画やアニメをいつでも観られるNetflix、HuluなどのVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスは、その利便性から年々利用者数を伸ばしています。日本におけるVODの市場規模は、今後も年率9%のペースで拡大するとみられ、消費者の間でさらに定着していくことでしょう。
さて、このような状況で逆風に曝されているのがレンタルビデオ業界です。業界の市場規模は縮小し、レンタルビデオ店の店舗数は年々減少が続いています。VOD市場に淘汰される勢いですが、老舗のゲオやTSUTAYAは新業態にシフトし、従来の事業とは異なる新事業で活路を見出しているようです。
VODの台頭前から衰退していたレンタル業界
日本のVOD市場はここ数年で規模が急拡大しました。一般財団法人デジタルコンテンツ協会によると、2015年の市場規模1410億円に対して、2020年は3710億円と5年間で2.6倍のペースです。2021、2022年はコロナによる巣ごもり需要によってさらに拡大すると見られています。
ちなみに、Netflixが国内に上陸した2015年は「日本のVOD元年」と言われています。以前は既存の映画を流すだけでしたが、オリジナルコンテンツを製作するようになり、映画会社をも脅かすようにもなっています。
一方、レンタルビデオ業界は以前から衰退が始まっていました。そもそも業界では激しい競争によって供給が過多となっていたほか、YouTubeの普及やスマホの普及による娯楽の多様化によってレンタル需要が減少し続けていました。
そのような状況で台頭したのがVODであり、特に2015年以降はレンタルビデオ市場の規模が大きく圧縮されています。ゲオ・TSUTAYAにおいては店舗数の減少が続き、既存事業の限界が見えています。両社とも新事業で再起を図るようですが、新たな取り組みは効果を発揮しているのでしょうか。ここからは両社の業績を分析し、今後について予想してみます。
意外にも堅調なゲオ
レンタル事業の印象が強いゲオホールディングス(ゲオ)ですが、近年の業績は意外にも好調なようです。2018/3期から21/3期までの業績は以下の通りです。
【ゲオホールディングス業績(18/3期→21/3期)】
売上高:2993億円→2926億円→3051億円→3284億円
営業利益:147億円→157億円→100億円→43億円
最終利益:66億円→103億円→38億円→▲7.5億円
レンタルビデオ業界の不調が続く近年でも、ゲオHDの売上高は上昇が続いています。実は同社、DVD・ゲームのレンタル及び販売を担う「GEO」だけでなく、リユースショップの「2nd STREET(セカンドストリート)」も展開しています。近年ではGEOの店舗数をやや減らす一方で、2nd STREETの店舗数を増やしていきました。