ティッシュにお米も…全品半額「関西発のアウトレットスーパー」創業者に安さのカラクリを聞く
近年メディアでは、SDGsを掲げた食品ロス削減やリデュース・リユース・リサイクルといった3Rの取り組みなどが数多く取り上げられている。再認識されつつある「もったいない精神」だが、「モノを簡単に捨てない」ことは、当たり前のようで意外と難しい。
そんななか、「もったいない」を合言葉に、すべての商品を半額以下のアウトレット価格で販売し、注目を集める「222(トリプルツー)」というチェーン店がある。そのカラクリについて、運営元であるカットリベロ株式会社の代表取締役、荒木伸也氏に話を聞いた。
起業のキッカケは「読み終えた本」
「昔から本が好きで集めていた私は、本を宝物のように大切にしていました。捨てるのは心苦しいと思っていたとき、Amazonで古本が売れると聞き、『本当に欲しいと思っている人に買ってもらえるなら』と、売ることにしたのです。2004年、私が32歳の頃、本など関係のない普通の会社員をしていたときでした」
いまは誰もが知っているAmazonだが、当時はあまり知られていなかったと言う。しかし、荒木氏が登録して、コメントを書き込んだところ、15分後に注文が入り驚いたのだとか。
「まだネットが浸透していなかった当時は、ネットでつながっているだけの、お互い見ず知らずの人同士が本の売買をするというのは、すごく不思議な体験でした。こんなことで売買が成り立つの? と思いましたし、当時は『商売をする=お店を出してお客様を呼ぶ』というのが当たり前だったので、看板も出さずに売買が成り立つということに可能性を感じました。
本は何百万種類もあるので、新刊ならともかく古本屋さんをまわっても、探している本をドンピシャで見つけることは難しい。でも、あれほど喜んでもらえるとは予想もしていませんでした」
上場企業を辞めて起業!奥様との約束は?
インターネットの可能性に気づいた荒木氏は「継続すれば、きちんと仕事として成り立つのでは?」と考えた。そして、ニーズのありそうな本を古本屋などで仕入れ、ネットで売るといった副業を半年ほど続けている。いまでいう「せどり」だが、この頃はまだ、そういった言葉もメジャーではなかった。
「副業を続けて、思い切って事業にしてみようと思いましたが、やはり最初は勇気が必要でした。そのとき私は土日が休みで、きちんと賞与も出るような一部上場の企業に勤めてしましたし、子供がちょうど小学校に上がる頃だったので、家族には心配させたと思います。
なので、そのときに家のお金は持ち出さないこと、そして銀行からも一切お金を借りないことなどを約束しました。いまは大きな取引もあるので銀行に融資を受けることもあります。でも、家のお金を持ち出さないことや、給料のようなカタチで決まった日に決まった額を渡すことは、約束してずっと守っていることです」